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zoom RSS 『The Banishment/Izgnanie』 アンドレイ・ズビャギンツェフ監督 その1

<<   作成日時 : 2010/02/08 00:31   >>

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『父、帰る』で金獅子賞を獲得したズビャギンツェフ監督(コピペ推奨:笑)の新作にして、カンヌで男優賞を受賞した未公開映画。これが日本をスルーしてしまうとは・・・(・ω・´; その1はあらすじ、感想など。

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『The Banishment』(2007)
原題:『Izgnanie』

監督 アンドレイ・ズビャギンツェフ
原作 ウィリアム・サローヤン『どこかで笑ってる / The Laughing Matter』
脚本 Artyom Melkumian

出演  コンスタンチン・ラヴロネンコ・・・Alex
     マリア・ボネヴィー・・・Vera
     Aleksandr Baluyev・・・Mark
     Maksim Shibayev・・・Kir

制作 ロシア
受賞歴 2007年カンヌ映画祭 最優秀男優賞(コンスタンチン・ラヴロネンコ)

◎ひとこと解説
 初監督作品『父、帰る』でヴェネチア映画祭金獅子賞・新人監督賞を受賞したズビャギンツェフ監督の第二作。前作と同様にある一家を描きながらも、父親の視点から物語が語られる。カンヌ映画祭ではコンペディション部門に選出され、男優賞を獲得。ちなみに、この年のパルムドールは『4ヶ月、3週と2日』。

◎あらすじ
 アレックスは家族とともに、幼年時代に自らが生活していた田舎を訪れる。しかし妻・ヴェラの告白により、田舎での静かな生活はおろか、家族の絆が崩壊していくことになる。彼女はアレックスにこう言った――「妊娠したの、あなたの子じゃないわ」。

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◎感想
 アンドレイ・ズビャギンツェフ監督は本作をもって、『父、帰る』がヒットしただけの一発屋ではなく、実力のある映画監督ということを証明したと言い切りたいと思います(・∀・ ただし、監督の名前は広まりにくいでしょう・・・この記事にある監督の名前はコピーを駆使しています(笑)

 冗談はさておき、いや、素晴らしい作品でした。『父、帰る』は脚本云々よりも、あの静謐で美しすぎるくらいの映像が記憶に残る作品でしたが、まずその点で『The Banishment』は監督の正統な進化を見せてくれます。月並みな言い方ですが、どのシーンも一枚絵として通用するレベルです。映像に関しては、監督がタルコフスキーと比較されることになった一つの要因である前作の「水」の描写が、今作では見られなかった点が特に印象に残っています。雨のシーンなどはあるのですが、むしろ乾いた大地や青白い家の中、夜と雨、すべてがアレックスとヴェラの心情を表現するかのように、重苦しい雰囲気を醸しだしています。ここに、単に美しいということ以上の映像を撮ることのできる監督の能力を見ました。

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 冒頭から最後までを埋め尽くすこの重苦しい雰囲気の中で、妻を許すのか、それとも許さないのか、苦悩するアレックスを観客は緊張しながら見守っていくことになります。不倫というテーマ、不倫された側が相手を許すことができるのかどうかというプロットはさして目新しいものではありません。観客も、映画を観ながら結末を3通りくらい予想して、「これのどれかだろうな〜」と当たりをつけながら鑑賞するでしょう(笑)。それにもかかわらず映画全編を緊張感で覆うことに成功しているのはお見事としか言えません。

 欲張りな話ですが、脚本に関しては「罪と赦し」というテーマを描くのであれば、もう少し掘り下げることもできたかなという感想もあります。教会が出てくる辺りで宗教的な話に持っていくのかと思いましたが、宗教性と結びつけることはちょっと強引になりそうです。おそらく人間という次元で、家族の葛藤を描こうとしているのだと思いますが、もう一声欲しかったところです。とはいえ、監督の『父、帰る』も説明はほとんどない映画ですから、本作はまだ説明してくれている方なのかもしれません・・・。

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 コンスタンチン・ラヴロネンコの演技は見事で、寡黙でありながらも悩みもがく男を演じきっています。とくに上手なのは、静かなる男アレックスの怒りを見せるところでしょうか。静から動への切り替えが急すぎてビックリ。でも、現実に妻に不倫をされた男は、ラヴロネンコが見せた演技のようになるのかもしれません。とりあえず非常に説得力のある演技でした。セリフではなく、表情で演じることができる役者さんを久しぶりに見ましたよ(´∀`* 他にも、ヴェラ役のマリア・ボネヴィーも良かったかな。

 結論としては、日本を通り過ぎることが非常に惜しいほど良い作品です。監督の知名度もあり、カンヌで賞も取っているのに、なぜ公開はおろかDVDも出ない「完全スルー」なのでしょう(;ω;`
 シネカノン倒産というニュースもありましたが、良作が紹介されない事態が今以上に拡大しないことを切に願わずにはいられません。っと、最後はちょっと愚痴になってしまいました(笑)次回は本作公開時の監督インタビュー!

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本作の監督インタビューを和訳した「その2」はこちら!
http://planeta-cinema.at.webry.info/201002/article_4.html

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The Banishment <2007/ロシア> ★★★☆
The Banishment/Izgnanie 2007/157min/ロシア ・ベルギー合作 監督&脚本:アンドレイ・ズビャギンツェフ「父、帰る」 出演者:コンスタンチン・ラ&... ...続きを見る
★Movies that make me...
2010/08/10 12:08

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コメント(2件)

内 容 ニックネーム/日時

こんにちは。
さきほど、英国の通販サイトで、セールになっていので、
オーダーし、検索をかけて、
ここへ辿りつきました。
とても貴重なプログですね。
ありがとうございました。
ご活躍を!
kimpitt
2010/10/09 16:40
こんばんは、コメントありがとうございます。
とても励みになりました。

映画を見終わったら、監督インタビューの記事もぜひご覧になって下さい(´∀`

隔週更新のブログですが、これからも思い出したときにチェックしていただけると嬉しいです。
それでは。
ina
2010/10/10 00:47

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