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zoom RSS 『Shanghai Dreams』 ワン・シャオシュアイ監督 その1

<<   作成日時 : 2010/02/22 17:11   >>

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カンヌ映画祭で審査員賞を受賞した作品。監督は『ルアンの歌』のワン・シャオシュアイ(王小帥)。検閲の問題を乗り越えて、一家族の物語を丁寧に描き切った素晴らしい作品です(´∀`*

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『Shanghai Dreams』(2005)
原題『Qing hong 』

監督/脚本 ワン・シャオシュアイ

出演 Yuanyuan Gao・・・Qinghong
    Bin Li・・・Xiao Gen Er

制作 中国
受賞歴 2005年カンヌ映画祭 審査員賞受賞

◎ひとこと解説
12年間にも及ぶ上映禁止を国内で受けながらも、『Beijing Bicycle』など海外では高い評価を受けてきたワン・シャオシュアイ監督の作品。本作の背景には監督自身の経験が反映されている。

◎あらすじ
 文化大革命中、中国政府は都市部に住む人々に対して田舎へ移住し地方産業を活性化させることを奨励した。それから20年、上海から田舎に移住したある家族の物語。父親はもはや田舎を出て、上海に戻りたいと願っている。娘にも上海の大学に進学することを望み、恋人と別れるように言いつけるほど、厳しく接しているのだ。しかし田舎で生まれ育った19歳の娘、Qinghongには上海を夢見る父親の気持ちが分からず、反抗的になってしまう。

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◎感想
 娘に厳しく接してしまう父親と、初恋真っ最中の娘を軸に展開していく映画です。本作が成功しているのは、このよくある話に中国の歴史を背景として持ってきている点にあると思います。それによって一つの家族を描きながら、監督自身の経験に基づいて、中国のある一時代――文革後の開放化へと向かい始める瞬間――に生きた人々をも表現することができたのではないでしょうか。つまり、ただ単に娘が男とイチャつくのがイヤだから父親は妨害しまくる訳じゃないんですよね。父親は上海に帰りたくてどうしようもないわけで、娘が田舎の男と付き合っていることはその計画にとってプラスにならないと考えているから、恋人と会わせないのでしょう。

 こう書くと、父親は自分のことしか考えてないみたいになりますね(・∀・; でもそうでもないんです。やはり父親は娘のことを考えています。彼は、上海に戻って、娘が上海の大学に入ることが何よりも彼女の将来にとって良いことだと思っているがゆえに、娘に厳しくなってしまうのです。
 ただし、はっきり言って映画を観ている人は「お父さん、やりすぎでしょ〜」と鑑賞中に何度も思うはずです。もう、1980年代ということを考えても、これはないと思うくらい娘に干渉しちゃいます。実際、父親は母親をはじめ、周囲の友人夫婦からも怒られる始末(笑)。それでも自らを変えようとはしない、日本にも昔はいたであろう頑固な性格をしています。

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 っと、やや父親の話にかたよってしまいましたが、映画自体は基本的に娘を中心に進んでいきます。カメラは娘を追い、映画の冒頭で恋人から赤い靴をプレゼントされて喜ぶ姿や、父親を気にして友達と遊びに行くことをためらう姿を見せるので、観客は自然にQinghongに感情移入することになると思います。そうなると、やはり父親は単なる恋路の邪魔としてしか認識できなくなるのですが、上述したような父親の真意が読み取れてくるにつれ、そして物語が進んでくるにつれて、今度は父親に感情移入するように管理人はなりました。この登場人物の描き方は、監督非常に上手だったと思います。ちょっと典型的な性格をキャラクターにさせていた気もしますが。

 ところで、主人公Qinghongの恋路を阻む要素として、父親以外に(笑)挙げられるのが、差別意識でしょう。本作を観ていると何回も出てくるのが、都市部から移住してきた人々と田舎に住んできた人々との間にあるお互いへの差別意識です。簡単に言うと、都市部から出てきた人々は田舎の人々を「田舎者め」という目で見ていたり、また田舎の人々は「どうせ俺たちをバカにしているんだ」と彼らを見ています。恋人は田舎の青年なので、おそらく彼は父親やQinghongに対して、本当は自分をどう見ているのかということが気になっていたのではないかと思います。

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 この娘の恋人、実はあまり出てきません。Qinghongの反応を見るまでは、恋人というよりはストーカーに見えるくらいです(´∀`;(笑) 会いたくても会えないというのは分かるのですが、もうちょっと二人が恋に落ちている感を伝えるシーンがあっても良かったかもしれません。

 さて、このような父親の夢と娘の恋との対立を軸にしながら、ストーリーは進んでいきます。当然ながら、父親の想いは娘には伝わりません。でもそれは、この父親だけが悪いのではなくて、いつの時代でもそういうものなのではないでしょうか。しかし、本作はそのズレが次第に大きくなり、思わぬ展開をもたらすことになります。家族、時代、人間を丁寧に描ききった素晴らしい作品です、ラストは言えないので、ぜひ観てみてください。

 『Beijing Bicycle』観たことがないのですが、この監督の作品なら観てみたくなってしまいました(・∀・ またQinghong役のYuanyuan Gao、綺麗な人ですが、『南京!南京!』にも出演しているそうです。これも楽しみ(´∀`

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本作の監督インタビューを和訳した「その2」はこちら!
http://planeta-cinema.at.webry.info/201002/article_9.html

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ワン・シャオシュアイ監督の未公開映画 『青紅(チンホン)』 (シャンハイ・ドリームズ) - 中国映画
ワン・シャオシュアイ監督作品(2005)  日本では『ルアンの歌』しか一般劇場公開されていないワン・シャオシュアイ監督の作品。これ以外は『ザ・デイズ(冬春的日子)』と『北京の自転車(17 歳的単車)』が映画祭公開されているのみ。本作はカンヌ映画祭で批評家賞を取っているのに日本では映画祭でも公開されていない。  ワン・シャオシュアイは中国社会や体制に対する批判的姿勢が鮮明で何度も中国当局から上映禁止処分を受けている。2作目の『FROZEN(極度寒冷)』などは最初から弾圧を警戒して「無名」... ...続きを見る
yohnishi's blog (韓国語...
2010/07/28 00:22

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