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zoom RSS 『Hadewijch/ハデウェイヒ』ブリュノ・デュモン監督 その1

<<   作成日時 : 2010/03/26 01:42   >>

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予定通りフランス映画祭2010からもう一作(・∀・* 『ユマニテ』『フランドル』でカンヌ審査員グランプリを二度も獲得しているブリュノ・デュモン監督の新作『ハデウェイヒ』を紹介します。予想外に?素晴らしい作品でした。監督の作品が苦手だった人にもこれはオススメできる……かも?(笑)

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『Hadewijch』(2009)
映画祭上映タイトル『ハデウェイヒ』

監督/脚本 ブリュノ・デュモン

出演 ジュリー・ソコロウブスキ・・・セリーヌ/ハデウェイヒ(修道院名)
    ヤシーヌ・サリム・・・ヤシーヌ
    カール・サラフィディス・・・ナシール

制作 フランス
受賞歴 2009年トロント国際映画祭FIPRESCI 賞

◎あらすじ
 セリーヌは神への激しい愛から、教義を超えた苦行によって自分を追いつめるようになり、修道院から追い出されてしまう。しかし、パリの街に戻っても彼女の燃えるような信仰はおさまることがない。そして、イスラム教徒の二人の兄弟と出会ったことで、彼女の人生はさらに変化していく。

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◎感想
 あらすじだけを見ると、なにか宗教を扱った難しい映画なのかという印象を受けるかもしれませんが、そんなことはありません。本作は映画祭のQ&Aで監督自身が語っているように愛をテーマにした作品です。こんな作品を作っておきながら、監督は宗教性はどうでもいいってくらいに話していました(笑)そういうわけで、愛への欲望は誰もが持っている、あるいは実感のあるものですから、本作は人を選ばない作品だということをまずお伝えしたいと思います(´ー`*

 その上で本作を思い返してみると、ブリュノ・デュモンも大人になったな〜というか、円熟味を帯びてきた作品を作ってくれたと思います。これまで、やや刺激的な描写が目に付く作品を作ってきた監督ですが、今回は非常に落ち着いた映画を見せてくれました。そういう意味でも、一般性があると言えるでしょう。個人的には、これまでの作品も好きだったのですが、本作はそれらに比べると頭一つ、二つ抜けた作品になっていると感じました。とくに本作で管理人が評価するのは(偉そうな言い方だなコリャ・・・)、監督が「撮りたい!」というテーマが明確に定まっていて、そのテーマを描くために映画を作ったんだという目的意識が映画から伝わってくるということです。こういう芯のある映画って、なかなかお目にかかれないと思います。

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 では、そのテーマについて今回は少し語ります。テーマが宗教性にないということは映画を観ればなんとなく気付くかもしれません。管理人も後半「これは信仰がテーマの映画じゃないな」と思って観ていました。もちろん、上映後のQ&Aでの監督自身のお墨付きがあるから堂々と言えるのですが(笑)。もし本作が、神を熱烈に信仰しているにも関わらず、神はうんともすんとも言わない…いわゆる「神の沈黙」について描いているならば、後半からラストにかけてのセリーヌの行動とそのテーマがかみ合わなくなるでしょう。あるいは、非常に短絡的な解答を監督が出したとしか考えられないと思います。確かにセリーヌは、強い信仰心を持っています。しかし映画を観れば、彼女が求めているのは「神からの愛を受けること」なのだと分かります。彼女はもともと人間からの愛を求めていたけれども、それが得られないから、かわりに神への愛を求めるようになったのではないでしょうか。この意味でセリーヌは純粋な信仰者とは言えませんし、作品のテーマも宗教性ではなく、愛であることがはっきりします。

 この「愛」というテーマを、監督は次のような問題として描きます。つまり、愛を神へと求めるものから、どのようにしていま一度、人間へ求めるものという次元に引きずりおろしてくるかという問いです。これをどうやって描くかはお楽しみに(・∀・

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 ところで、「神の沈黙」を心から自らの問題と捉えて、それをモチーフとした作品は映画に限らず存在します。その中でも本当に傑作と呼ばれるに値するものは、実に丁寧にその問題を描こうとし、それに成功したものだけでしょう。「神の沈黙」あるいはその他の信仰の問題を扱う作品として『ハデウエィヒ』を捉えると、セリーヌの振る舞いから、本作がこの問題を雑に扱ったようにしか見えないと思います。しかしそれは、ブリュノ・デュモンという豊かな才能を持った監督が意図したことではないだけのことなのです。ここを読み違えると、不満の残る作品になるかと思うので一応ひとこと(笑)。

 思えばブリュノ・デュモンという監督は、「愛」「欲望」といったものを、人間にとって不可欠な、あるいは排除することのできない要素として重要視した映画を撮っているような気がします(ちょっと安直な形でそれを表現していた印象もあって、手放しで「最高!」とは言えなかったのですが)。本作で監督は、そのように人間にとって欠かすことのできない「愛」を、神に求め、神から与えられるものとしてではなく、人間愛という次元で達成されるべきものなのだと主張しています。この主張は、映画史に残る信仰を描いた作品を思い起こすと、ちょっと視野の狭い主張ではないかと感じられもします。それでも『ハデウェイヒ』では、監督にとっての「愛」というテーマが丁寧かつ深く描かれていると思いますし、前作までとは違って「ちょっと安直」などと言う気がまったく起きないほど作品が作り込まれていると思います。ですから自分の中では、監督の思想・信念がしっかりと伝わってくる作品として、本作が非常に素晴らしい映画だという評価は変わりません。

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本作の監督インタビューを和訳した「その2」はこちら!
http://planeta-cinema.at.webry.info/201003/article_8.html

 追記ですが、『アンプロフェット』『パリ二十区、僕たちのクラス』『白いリボン』など最近観たカンヌで評価された作品より、『ハデウェイヒ』の方が好きかもしれませんね(´∀`* いまのところ2010年のベストか!

 さらに追記。公開されていなかったデュモン監督の『Twentynine Palms』が、最近『欲望の旅』というタイトルで発売されました!管理人も早速レンタルしたのですが、こちらはちょっと・・・う〜ん(・∀・;
 

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