ぷらねた 〜未公開映画を観るブログ〜

アクセスカウンタ

zoom RSS 『The White Ribbon/白いリボン』ミヒャエル・ハネケ監督 その1

<<   作成日時 : 2010/04/04 02:15   >>

面白い ブログ気持玉 1 / トラックバック 1 / コメント 0

今回は、管理人が勝手に敬愛しているミヒャエル・ハネケ監督の新作を紹介(・∀・ 2009年カンヌ映画祭でパルムドールを獲得し、2009年のベスト作品として非常に高く評価されている一品。完成度という点では、ハネケ作品の中でもピカイチではないでしょうか(´∀`* なお、本作は一般公開が決定しているようです!

画像


『白いリボン』(2009)
国際タイトル『『The White Ribbon』/原題『Das weisse Band』

監督/脚本 ミヒャエル・ハネケ

出演 クリスティアン・フリーデル・・・教師
    ブルクハルト・クラウスナー・・・牧師
    ライナー・ボック・・・医者
    スザンヌ・ロータ・・・助産婦
    ウルリッヒ・トゥクル・・・男爵 ほか

制作 オーストリア・独・仏・伊
受賞歴 2009年カンヌ映画祭 パルムドール受賞
     2010年アカデミー賞 外国語映画賞ノミネート ほか

◎あらすじ
 ある老人が、過去に教師として赴任していた村の話を始める――舞台は第一次世界大戦を目前に控えた頃の、ドイツ北部にある小さな村だ。穏やかで平和に保たれていた村の秩序は、一つの出来事をきっかけとして起こる奇妙な事件の連続で乱されていくことになる。村では何が起こり、教師は何を見たのだろうか。

画像


◎感想
 ミヒャエル・ハネケ監督といえば、本人もこれまでにインタビューなどで語っていたと思いますが、作品中で問いを提示し、その解答は与えないというスタンスを一貫して取り続けています。そのため、ハネケ作品を観た後は観客がそれぞれに解釈を与えなくてはならなくなるわけです。そして、本作『白いリボン』も同様ですから、感想を書く以上、管理人の解釈を(どんなに杜撰でも)今回は書かなくてはいけないかなと思います。
 
 ・・・でもその前に、映画そのものについて思ったことなどを少し。

 本作において監督は、意図を持って白黒の映像を選択した訳ですが(これは「その2」のインタビューを見てください)、これがまず大正解でした。監督の意図は鑑賞中には気付きませんでしたが、村を包む不穏な空気や、村人たち(これがまた、みんな癖のある人ばかり)の間に存在する様々な負の感情、総じて映画の重苦しさを表現するのに、このような端正な白黒映像はピッタリだったと思いました(・∀・*

 それから、監督としては珍しく現代を舞台にしていないことも、映像同様これまでの作品と違うポイントかもしれません。『カフカの「城」』と『タイム・オブ・ザ・ウルフ』は、時代設定が現代ではない感じですが。もちろん、後述するように監督が描こうとしているテーマは、一般的・普遍的なものですから、舞台をどこに据えても構わないとも言えます。それでも、1913年頃の田舎の村という舞台を再現したために、これまでの作品に比べてどこか映画的な豪華さを作品から感じさせられました。管理人としては、ハネケ監督には費用のかかっていなさそうな現代劇でパルムドールをとって欲しかったのですが(笑)、洗練された作品に仕上がっているとも言えるでしょう。

画像


 では、ストーリーの方はどうでしょう。表面的な出来事、何が起きたのか、ということでさえ意見が分かれそうな、いくつかのハネケ作品に比べると、一つ一つのことがらそのものについてはあまり解釈が分かれるところはなさそうです。ミステリー的な部分もありますが、犯人をあてることに主眼は置かれていないと思います。というのも、それは最終的には「ほぼ」明らかになりますし、途中で想像できちゃうので。

 しかしながら、本作で起きる一連の出来事が何を語ろうとしているか、ということについては、観客の数だけの解釈が存在しうるでしょう。白黒映像になっても、制作費がかかっていても、『白いリボン』はその点で、これまでの作品から一貫している性格を持っています。というわけで、そろそろ管理人なりに本作のテーマについて語ってみましょう(`・ω・´)

画像


 結論から言えば、本作のテーマは、いかにして「悪意」あるいは「反抗心」が人間の心に芽生え、悪意ある「暴力」に結びついていくか、ということだと思います。これまでも「暴力」を扱った作品が多かったハネケ監督ですが、それをテーマにした作品では、どちらかというと「理由もなく、衝動的に暴力を振るう」という人間の負の部分が提示されていました。管理人としては、本作で監督は初めて「どうして暴力に突き進むのか」という原因を問う問題を立てて、それに答えようとしたのだと受け取っています。自分で言うのもなんですが、そう考えると映画における出来事は比較的それが持つ意味を理解しやすくなるのではないでしょうか。

 ただし、テーマが何かを考えたあとに、さらに監督がそのテーマにどう解答を与えているのかを解釈する「宿題」が観客にはまだ残っています。管理人はまだ完全にはその「宿題」を消化し切れていないと思うのですが、実はやや『白いリボン』における描写は物足りないような気がしています。実は本作のテーマ、モチーフ自体は監督が明らかにしています。それについても「その2」を参照して欲しいのですが、管理人が捉えたテーマとそこまで違いはないように思えます。それゆえ管理人が捉えたテーマがまるで的外れだから、物足りなく感じるという訳でもなさそうです(ホッ)

画像


 では『白いリボン』が、そのテーマを根源的な部分にまでさかのぼって描写したというには、やはり不満な点が残るのはなぜでしょうか。初期の作品のように、衝撃的な展開がないから、というわけではありません。むしろ、安易に派手な展開に頼らず、じっくりと描いたからこそこれだけの作品ができたのだと思います。しかし同時に、丹念に描くことで、説明的になってしまった部分があるのかもしれません。つまり、各シーンがテーマを語る上で担っている意味を、言葉で説明できてしまいそうな印象を受けたんですね(・∀・; 言い換えると、解釈が人によってそこまで異ならない、あるいは映像でなければ表現できない、という部分が弱かったのだと思います。さらに言ってしまうと、その描写・説明もややスタンダードなものだった印象が否めません。

 とはいえ、その描写がどのようなものなのかは、本作を観てのお楽しみということにしておきましょう、当ブログはネタバレなしを謳っているので(´∀`; それに一つ一つの描写を挙げて説明すると、ボロが出ますしね(笑)

 ややグダグダと書き連ねてしまいましたが、パルムドールにふさわしい作品であることに疑問の余地はありません。これがハネケ監督の作品でなければ、上記のようなちょっとした不満もなく、大傑作だと書いていたことでしょう。熟練した映画監督にしか作れない映画の領域に達していると思います。ここに書いたのは管理人の感想ですし、観た人の数だけ感想がありうる作品です。ですから監督が、何を、どのように描いているのかは、実際に観てみないと始まりませんし、観るだけの価値は(自分が言わなくても)十分すぎるほどあるでしょう。

画像


本作の監督インタビューを和訳した「その2」はこちら!
http://planeta-cinema.at.webry.info/201004/article_2.html

追記:自分はハネケ監督の新作を待ち望んでいて、なおかつパルムドールを取ったので、ちょっと尋常じゃなく期待しすぎてしまったかもしれません(´∀`; 「『白いリボン』はハネケの最高傑作!」と言われると・・・

 

テーマ

関連テーマ 一覧


月別リンク

ブログ気持玉

クリックして気持ちを伝えよう!
ログインしてクリックすれば、自分のブログへのリンクが付きます。
→ログインへ
気持玉数 : 1
面白い

トラックバック(1件)

タイトル (本文) ブログ名/日時
「白いリボン」
「ハイ・フィデリティ」的になんでも”僕のTOP5”を並べるのが好きな私ですが、”後味が悪過ぎて二度と観たくない映画TOP5”を挙げると、「リリ... ...続きを見る
RAY's Favorites
2010/10/19 01:31

トラックバック用URL help


自分のブログにトラックバック記事作成(会員用) help

タイトル
本 文

コメント(0件)

内 容 ニックネーム/日時

コメントする help

ニックネーム
本 文
『The White Ribbon/白いリボン』ミヒャエル・ハネケ監督 その1 ぷらねた 〜未公開映画を観るブログ〜/BIGLOBEウェブリブログ
文字サイズ:       閉じる