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zoom RSS 『Tales from the Golden Age』クリスティアン・ムンジウ監督 その1

<<   作成日時 : 2010/07/17 00:39   >>

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『4ヶ月、3週と2日』でカンヌでパルムドールを受賞した、クリスティアン・ムンジウ監督の最新作を紹介。新作は予想外のコメディなんですが、やはり単なるコメディではなく、チャウシェスク政権下のルーマニアをしっかりと描いています。

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『Tales from the Golden Age』 (2009)
原題『Amintiri din epoca de aur』

脚本 クリスティアン・ムンジウ
監督 クリスティアン・ムンジウ
   Hanno Höfer / Razvan Marculescu
   Constantin Popescu / Ioana Uricaru

製作 ルーマニア・フランス
受賞歴 2009年カンヌ国際映画祭「ある視点部門」出品

◎ひとこと解説
チャウシェスク支配末期のルーマニアを舞台にした「都市伝説」を、『4ヶ月、3週と2日』のクリスティアン・ムンジウ監督が脚本にし、自らを含めたルーマニアの5人の監督が一つずつ作品にしたオムニバス形式のちょっとシニカルなコメディ。

◎感想(とエピソードの紹介)
 今回は、パルムドール受賞以来新作が待たれていたムンジウ監督の新作を紹介。とはいえ、他にも4人の監督が参加しているので新作長編という感じでもないですが。『4ヶ月〜』のイメージからは想像がつかないほど、ユルくてカルい作品になっております(´∀` ただしコメディとは言っても、背景が背景だけに風刺的な部分もあり、また当時のルーマニアの普通の人々の生活を描いている点でムンジウ監督の前作とつながる部分もあると思います。それでは一エピソードごとに簡単な紹介と感想を書いていきます。

@「公式訪問の伝説」
 共産党の査察を受けることになった町では、町長をはじめ査察官を歓迎する準備で大忙し。準備の甲斐もあって訪問は順調だったが、査察官のために開いた宴会が盛り上がりすぎて・・・。

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 ポスターにも使われているエピソードで、作品全体の雰囲気を最初から伝えてくれる作品です。最初は訪問の準備を追いながら、ところどころに笑える箇所を散りばめてきて、最後にオチが一つ待っているという話です。このエピソードからは、チャウシェスク政権時代の人々がいつも圧政に苦しめられていたわけではなく、その中でも明るくユーモアを持って生きていたことが伝わってきて、好きなエピソードです(・∀・

A「共産党専属写真家の伝説」
 共産党には専属の写真家がいた。彼らは、写真を撮るだけではなく、上層部からの要求どおりに写真を修整する仕事も負わされていた。今日も、いつものようにチャウシェスクの見た目をよくするように命令されたのだが・・・。

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 これはちょっとオチが予想できてしまう話ですが、当時の党をアイロニカルな視線で描いて笑ってしまおうという姿勢はいい感じ。声を出して笑えるというよりは、まさに新聞の風刺画を見て面白いと感じるときのような気分を味わえると思います。

B「チキン・ドライバーの伝説」
 ニワトリを輸送する運転手のお話。彼が途中で休憩を取るレストランには、美人のおかみさんがいた。「卵が足りない」とおかみさんに言われた運転手は、自分のトラックを開けると・・・。

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 エピソードの最後の最後まで観て、意味が分かる作品です。@Aとは違って、笑える話ではなく、強い皮肉がラストには込められています。やはりムンジウ監督が脚本を担当しているだけあって、単にブラックコメディ・オムニバス集にはならないですね。Dと並んで、『4ヶ月〜』に近い毛色の作品で、チャウシェスク時代に対する義憤が最も感じられるエピソードでした。

C「強欲警官の伝説」
 物資が手に入らない中、警官が豚を一匹生きたまま連れてきた。彼は豚をマンションの自宅で、隣人たちに気付かれないように屠殺しようとするが・・・。

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 すべてのエピソードの中で、一番単純に笑っていい話なんではないでしょうか(・∀・; もちろん、当時の食糧事情(配給制というわけでもなかったようですが、詳しい方教えてください)が背景にあるという点ではチャウシェスク時代に批判的な物語としても見れます。けれども、個人的にはこの作品は、他のコメディ作品と同様、間の抜けた人たちの間の抜けた行動を楽しく鑑賞して笑えばいいと思います。

D「空気売りの伝説」
 修学旅行のためにお金を稼ぐ必要があるCrina。彼女は偶然自宅を訪れた怪しいセールスマンBughiと知り合う。彼は空のガラス瓶を住人から騙し取り、その瓶を換金して金儲けしようとしていた・・・。

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 時間的にも長く、ポスターに使われていたりと、本作の中でも@と同様中心的な位置をなすと思われるエピソード。「空気売り」とはなんのことかと気になる方は、ぜひ『Tales from the Golden Age』をご覧になることをオススメします。作品としてはBに近い雰囲気で、笑える作品というよりは、ちょっと奇妙で面白い雰囲気をかもし出しつつも、最後まで観ると少し胸を打つものが残るというような作品です。これが最後に配置されているお陰で、余韻を持って本作は終わります。

 笑えるエピソードもあれば、シニカルだったり、胸に引っかかるものを残すエピソードもありますが、すべてのエピソードが良質であると思います。クリスティアン・ムンジウ監督が5人の監督の中では突出して有名なので、海外でもポスターには彼の名前しか書いていなかったりします。しかし、どのエピソードもそれぞれの監督がチャウシェスク時代(と対峙する)、あるいは当時の普通の人々を描くという作品の根底にある動機をしっかりと捉えており、『Tales from the Golden Age』を単なるコメディ集以上の作品に完成させています。ムンジウ監督以外の4人の中からも、国際的に有名になる監督が出てくるのではないかと期待させてくれました(´∀`*

本作の監督インタビューを和訳した「その2」はこちら!
http://planeta-cinema.at.webry.info/201007/article_2.html

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