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zoom RSS 『Lebanon/レバノン』 金獅子賞受賞作 その1

<<   作成日時 : 2010/09/11 20:57   >>

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現在開催中のヴェネチア映画祭にちなんで(もう終わってしまいますが)、昨年同映画祭で最高賞の金獅子賞を獲得したサミュエル・マオズ監督の『レバノン』を紹介。一年たっても日本公開の噂は聞きませんが、ものすごく引き込まれてしまう作品でした!

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『Lebanon』(2009)

監督/脚本 サミュエル・マオズ(Samuel Maoz)

出演 Yoav Donat・・・シュムリク
   オシュリ・コーエン・・・ヘルツェル

製作 イスラエル
受賞歴 2009年ヴェネチア国際映画祭 金獅子賞

◎あらすじ
 1982年6月、イスラエル軍はレバノンに侵攻する。戦争経験などない青年シュムリクも、射撃手として戦車に乗って戦争に参加することになった。彼を含めた4人の若者が乗った戦車は、すでに空爆された街を調査するよう命じられるが、この簡単に思われた任務の中で、彼らは戦争の現実を目の当たりにする……。

◎感想
 昨年のヴェネチア映画祭で、金獅子賞を獲得した作品です。受賞のニュースが流れたときには、かなり地味な作品のように紹介されていた記憶もありますが、力のある作品でした。
 メインとなる登場人物は戦車の中にいる4人、とくに(おそらく訓練を終えて)はじめて実戦の場で戦車に乗ることになった射撃手・シュムリクが主人公になります。そして、ストーリーはほとんど戦車の中で進んでいきます。もちろん、探索&残った敵の排除をするために街へと移動していくわけですが、戦車の外はすべて、戦車の中にある照準レンズをのぞく形で描かれることになります。この照準レンズを通してしか外側を見る視点がないということが、映画的にとても重要な意味を持ちます。

 一つには、このことによって観客もまた主人公たちと同様に戦車の中に閉じ込められ、それによって彼らと自分を重ね、彼らの体験を追体験しているかのような気分を味わいさせられます。前半部分で印象的だったのは、この照準レンズから外を覗くときに見る、人々の顔でした。戦場で攻撃してくる敵の顔。味方の顔。攻撃された街の一般市民の顔。こちらを見てくるまなざしは、主人公たちを超えて映画を観ている観客にも突き刺さってきます。

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 普通の戦争映画と違って、第三者の視点からではなく、戦争に参加している人間が見る視点を再現しているので、ドキュメンタリー以上にリアリティがあるような気がしました。もちろん、観客は映画を観るという戦地とはかけ離れたリラックスした環境にいるわけですが、監督はそこまで分かった上で、観客に不安を与えることに成功していると思います。ちなみにサミュエル・マオズ監督は実際にレバノン戦争で兵士として戦った経験があり、自身を主人公シュムリクに投影しています。

 前半ではその主人公シュムリクの葛藤も主題になります。はじめて戦争に参加して、いきなり戦車の射撃手として人を殺さなければならない。分かっていても、そんな簡単に引き金を引ける訳がないですよね(・∀・; しかし戦争は、ためらっていることをいつまでも許してくれるほど甘くありません。シュムリクには決断のときが迫っているわけです。このあたりの描写や結果も、監督の実話なのかもしれませんが重たいものになっています。

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 さて照準レンズのもう一つの意味は、終盤に関わると思うのでちょっと置かせていただくことにして、後半について感想を。後半ではまた困難な状況が続き、タンクの密室さ、密閉さがいよいよ強く感じられるようになってきます。戦車の中にいる4人の間にも、ときに険悪なムードが漂い、しかし置かれている状況と対峙することになります。息が詰まるような展開の中、ついにラストシーンが訪れます。

 管理人にとって本作の最も素晴らしい点は、間違いなくラストシーンでした。それがどのようなものかはいつも通り伏せておきますが、これについては観た人と語りたくて仕方がない(´∀`*

 監督は本作について、このインタビューで「『レバノン』は純粋な反戦映画です、それはこの作品が政治的な映画ですらないからです」と語っています。そのことは確かに、戦争で苦しむ一般の人々を描いた部分からも伝わってきます。しかし、端的に、そして最も強くそれを訴えているのは、このラストシーンなのだと思いました。画面が暗転してからの余韻は、間違いなく本作が素晴らしい作品であることを物語っています。シュムリクが見たものは何か、気になる方はぜひチェックしてみて下さい。uk版DVDは安くて監督のコメンタリーもついててお得かもしれません(・∀・ ただ、時期的に各映画祭で上映されることを期待したいですし、受賞から一年は経ってしまいましたが日本を完全スルーしてしまう作品とは思えないので、お得にならないかもしれません(笑)

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本作の監督インタビューを和訳した「その2」はこちら!
http://planeta-cinema.at.webry.info/201009/article_2.html


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