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zoom RSS 『UZAK/冬の街』 ヌリ・ビルゲ・ジェイラン監督 その1

<<   作成日時 : 2010/11/29 01:36   >>

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お次はカンヌでグランプリ&男優賞の二冠に輝いた、ジェイラン監督の出世作を紹介します(・∀・ これまたまったく派手さはないのですが、やはり退屈しない作品です。ジェイラン監督は、長編三作目にしてすでに「いぶし銀」という感じだったんですね。

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『UZAK』(2002)
英題『Distant』/シネフィル・イマジカ放映タイトル『冬の街』

監督/脚本 ヌリ・ビルゲ・ジェイラン

出演 ムザフェア・オズデミル…マフムト
   モハメット・エミン・トプラク…ユスフ

製作 トルコ
受賞歴 2003年カンヌ国際映画祭 審査員グランプリ
    最優秀男優賞:ムザフェア・オズデミル、モハメット・エミン・トプラク

◎あらすじ
 イスタンブールで暮らす中年の写真家マフムトの家に、いとこのユセフが下宿しにやってきた。職を探すために、田舎から出てきたのだ。現実と理想の生活のギャップに悩む芸術家のマフムトと、無職ながら楽天的な側面を見せるユセフ。二人の共同生活には、何が待っているのだろうか。

◎感想
 カンヌで次点にあたるグランプリを受賞した、『UZAK/冬の街』を紹介します(・∀・ 管理人がはじめて観たジェイラン監督の作品であり、結構前に鑑賞したので、もしかしたら細部には間違いがあるかもしれません(笑)。

 この作品の全体について、まず一言目に出てくる感想は「ものすごく抑えた作品」だなというものです。普通、どんなに静かな映画でも、終盤には盛り上がるような、いわゆるヤマ場があるものですが、この作品にはそれがないように感じました。都会暮らしの中年男と田舎出の若者との間にある精神的なギャップがスパイスになってはいますが、基本的には二人の共同生活の日々を淡々と描いているのみです。脚本だけでなく、カメラが切り取る映像も、特別に綺麗だったり芸術的?なものはなかったと思います。

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 しかしながら、それはこの作品が退屈だということではありません。このようなスタイルで本作が撮られているのは、おそらく主人公となる二人の人生をじっくりと、そして安易にごまかさないで描こうとしたからだと思います。映画を作っていると、きっと劇的なシーンであるとか、芸術的なシーンを入れたくなると思うのですが、この作品にはそうしたシーンは必要ないと思われるので、ジェイラン監督はしっかりとそれらの誘惑を抑制して本作を完成させたと言えるのではないでしょうか(´∀` 本作が「抑えた作品」だというのはいい意味で受け取ってください(笑)。

 そういうわけですから、メインとなるストーリーを文章にしたとすればとてもシンプルなものになると思います。とはいえその一方で、この作品は脚本がよくできていたという印象も鑑賞後に残ります。なぜかというと、一つ一つの小さなシーンやセリフにウィットがきいていて、いいなと思わせられるからです。
 面白かったシーンの一例としては、独身男であるマフムトが、ユスフがきたせいで秘蔵のアダルトビデオを好きなように見れなくなったときの話が挙げられます(´∀`; 彼がユセフを早く寝室に向かわせるようにとった手段とは…タルコフスキーを見せること!(笑)このシーンについては、インタビューで監督がその真意について語っていますのでご一読を。

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 それから、カンヌで最優秀男優賞を獲得した二人の俳優の演技もやはり素晴らしい。こちらも作品同様、ものすごく激しい演技をしているわけではありません。むしろ二人とも、飄々と演技していると言った方があたっていると思います。それが作品の雰囲気とマッチして、リアリティを高めていました。あるいはむしろ、作品の雰囲気がこの二人によって作られていたということになるのでしょうか。とにかく、二人とも自らが演じるキャラクターを非常によく理解して、その個性が伝わるような演技を見せてくれました。ユスフを演じたトプラクさんは、本作の撮影後に交通事故で亡くなられてしまったそうで、惜しいかぎりです。

 このように、抑制した演出と俳優陣の演技によって、特別ではない、むしろ孤独な男二人の人生をリアルに本作は描ききっています。恋愛に関わる側面がほとんどない分、ストレートに人生について、また、それをどう過ごすかということを考えさせられました。ラストは流石にやや叙情的になりますが、それもまたよし(・∀・
 流石に毎日このような映画を観るのはツライ気もしますが(笑)、やはりこういうシブイ映画がないと、ですね。

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本作の監督インタビューを和訳した「その2」はこちら!
http://planeta-cinema.at.webry.info/201012/article_1.html

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内 容 ニックネーム/日時
映画(冬の街)のラストシーンが堪らなく好きです!!途中、従兄弟のユセフとの確執や同居する事からフラストレーションもあってー。兵隊オモチャに興じる純なユセフの笑い声が本作の一番の山場かも知れません。鼠取りシートのエピソードなどやはりチェホフ張なシュチュエーションです。、不倫したりポルノVTR を従兄弟の手前慌ててタルコフスキーの映画に切り替えるシーンなどもユーモラス。ピカソの青の時代風な画面で出現する前半の女性のシーンも、孤独を癒してくれる港のシーン、横転した船舶のシーン、夢のシーン、どの断片もテオ・アンゲロプロス監督映画のような詩情を持っていて驚かされます。
PineWood
2015/10/01 20:42

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