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zoom RSS 『さあ帰ろう、ペダルをこいで』 ステファン・コマンダレフ監督 その1

<<   作成日時 : 2011/01/30 03:09   >>

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前回の記事で取り上げると言った以上、今回はちゃんと予定通りの更新です(笑)。『世界は広い-救いは何処にでもある』(『さあ帰ろう、ペダルをこいで』という題で一般公開決定!)、こんなに爽やかな感動を与えてくれる映画は本当に久しぶりに出会った気がします(´∀`

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『世界は広い-救いは何処にでもある』(2008)
一般公開題『さあ帰ろう、ペダルをこいで』
英題『The World is Big and Salvation Lurks Around the Corner』

監督 ステファン・コマンダレフ
原作 イリヤ・トロヤノフの同名小説
出演 ミキ・マノイロヴィッチ…バイ・ダン
   カルロ・リューベック…アレックス
製作 ブルガリア・ドイツ・スロベニア・ハンガリー
受賞歴 2008年ソフィア国際映画祭 最優秀ブルガリア映画賞&観客賞

◎あらすじ
 共産党時代にブルガリアからドイツに移住したアレックスと両親。時が経ち、移住してから初めてブルガリアを訪問しようとしたその途中、一家は交通事故に遭ってしまう。
 両親を亡くし、自らも記憶喪失に陥ったアレックスの前に現れたのは、彼を救うためブルガリアからやってきた祖父バイ・ダンだった。バイ・ダンによって、アレックスは故郷ブルガリアへとタンデム自転車を漕いで旅することに。その旅の中で、アレックスは希望を見出していく――。

◎感想
 前回の「ぷらねた的2010年ベスト10!」で取り上げた、『世界は広い-救いは何処にでもある』を今回は紹介。これは非常に好きな映画でした(・∀・

 本作はあらすじにもある通り、記憶を失ったアレックスと、彼のおじいちゃんであるバイ・ダンがドイツからブルガリアへと二人乗り自転車を漕いでいくロード・ムービーです。しかしそれだけでなく、そこに共産党時代のブルガリアでの話――バイ・ダンやアレックスの両親たちの話――が挿入されるという構成。

 この作品にはたくさんの魅力が詰まっているのですが、まず挙げられるのはバイ・ダンの人物造形でしょうか。監督はインタビューの中で、ドイツの徒弟制度にならって、バイ・ダンのような人間をマイスターと言い表しています。つまり、人生の師匠として悩めるアレックスを導いてあげる人間がバイ・ダンなんですが、それに相応しく非常にカッコイイ人間です(´∀` 共産党時代のエピソードや、アレックスに対する熱く、ときに厳しく、そして優しい接し方など、男としてただただ憧れるばかり。彼はブルガリアの田舎の村では「バックギャモンの王様」として認められているのですが、バックギャモンのやり方を教えることを通じてアレックスに様々な想いを伝えていきます。

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 ちなみに映画のポスターやドイツ版の宣伝文句「人生はバックギャモン?それともタンデム自転車?」にあるように、この映画ではバックギャモンというゲームが非常に重要な小道具として用いられています。管理人はルールやらはまったく知らないで観たのですが、とりあえずヨーロッパ版のすごろくだと思っておけば理解に支障はありません(笑)。

 さて、作品の中心となるロード・ムービー部分では、様々な人や場所と出会いアレックスの心に起こる変化を描いています。どちらかというと爽やかでユーモア溢れる部分が多かったと思いますが、個人的にはこちらの部分よりも、それに対置されるブルガリア時代のエピソードが記憶に残っています。この共産党時代のブルガリアでは、幼かったアレックスとバイ・ダンの交流や、アレックスと両親がドイツへ移住することになったきっかけなどが語られます。この部分は、ユーモアを含みながらもやはり重たい内容になっていますが、個人的には感銘を受けた部分です。バイ・ダンが今も昔もナイスミドルすぎ。

 そして、この部分がなければ、本作はただのおじいちゃんと孫が故郷に自転車を漕いでいくだけの話になってしまったでしょう(・∀・; 過去の話をしっかりと描くことによって、この作品のテーマには、過去とどう向き合うのかということが含まれていると感じました。というのは、記憶を失ったアレックスが現代のパートですぐには希望を持てないように、過去に対する態度を決定しない限り、私たちは今・未来に対してどう向き合うのかを決めることはできないように思えるからです。ですからこの過去パートは、アレックスがどう生きるのかを模索する本作の本質に関わる要素であると言えます。そういう訳でこの作品の魅力の一つとして、共産党時代という過去を描いたことによって作品に現れた深みも挙げたいと思います。

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 やがて過去がすべて語られる頃、二人の旅も終わるでしょう。そのとき、何が待っているかはもちろん鑑賞してのお楽しみ。管理人はEUフィルムデーズという、日本人以外のお客さんも多い機会に本作を鑑賞したのですが、クライマックスでは歓声があがり拍手が鳴り響くという状況に(・∀・ でも、それがオーバーリアクションに感じられないくらい、本当に素晴らしい最高の結末が用意されています。最初から最後のシーンまで脚本が完璧でした。この脚本の完成度を、本作の魅力として最後に挙げておきます。過去と現在のつながりとかも結構ウマイです。

 さてさて、過去についてのところで少し言ってしまいましたが、結末も含めて考えれば、この作品のテーマはずばり人生についてでしょう。もちろん、人生についてどこまでも深刻に考えることもできます。しかし、この作品は過去や人生の厳しさを受け止めた上で、非常に肯定的に生きることを捉えています。なぜなら、『世界は広い-救いは何処にでもある』からです。

 前回の記事更新時には知らなかったのですが、本作は今年一般公開されることが決定しています。管理人が薦めなくても間違いなく話題になる映画だと確信していますが、もしも本作のことを聞いたことがなかった方は、ぜひご鑑賞を(´∀`

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本作の監督インタビューを和訳した「その2」はこちら!
http://planeta-cinema.at.webry.info/201101/article_5.html

 ……ちょっと最近、比較的新しい作品を紹介⇒公開決定のパターンが多いですね(・∀・; 海外でDVD出るとすぐ買っちゃうせいもありますが、もうこのまま未公開だろうという作品をしっかりと取り上げていきたいと思います。ひとりドイツ未公開映画特集とかも画策中。

※0319追記
 本作は『さあ帰ろう、ペダルをこいで』というタイトルで一般公開が決まったようです。が!本作のタイトルは、『世界は広い-救いは何処にでもある』以外にはありえないと思います。このタイトルは本編とも関係しているので、はっきり言って改悪以外の何物でもないと感じます(もちろん一般公開は嬉しいです!)。

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コメント(6件)

内 容 ニックネーム/日時
はじめまして!
飛行機(ANA)の中でたまたまこの映画をみて、ものすごく感動したので、情報を求めてグーグルで検索してこちらにお邪魔しました。

おじいちゃんバイ・ダンがかっこよかったですね。時に厳しく、どこまでも優しく、正義感があって。
孫のサシェくんが、最初はおびえた表情だったのが、おじいちゃんに心を開いて「かなわないや」と、だんだん屈託のない笑みを見せるようになっていく姿が爽やかでした。
東欧の美しい景色もよかったなあ。
でも飛行機のちっちゃい画面だったので、残念でした。
日本公開が決まったと聞いてうれしいです!また映画館でみたいです!


イワン
2011/08/01 18:25
はじめまして、コメントありがとうございます(・∀・

おっしゃる通り、バイ・ダンもアレックスも爽やかで魅力的な人間ですよね。
映画祭で見てから1年経ちましたが、この映画ほど鑑賞後に幸せな気持ちにさせてくれた映画にはこの1年まだ出会っていません。

一般公開はどうやら(震災の影響などもあったのかもしれませんが)2012年に延期されたようですが、楽しみですね。
拙いブログですが、またお越し下さいm(_ _ )m
ina
2011/08/01 18:54
はじめまして!

実は私もイワンさん同様に、昨日の台湾からのANA便でこの映画を見ました。

こういうロードムービーは大好きながら久々で、リトルミスサンシャインやサンジャックへの道以来でした。

が、台湾からのフライトでは時間が短すぎたようで、恐らくラスト数分?の所で着陸体勢に入り、ストップしてしまいました。。。(泣)

ここからややネタばれに入ってしまうので、少し改行を入れます。。。






サシコとバイダンが王者の称号を賭けて最後のサイコロ勝負に入り、サシコがサイコロを降ると自動車事故のシーンが逆回しとなったところで、上映が止められてしまったのです。。

これってひょっとしてサシコが最後に大事な事を思い出したのでは無いかと思い、何とか情報を得ようと検索しまくって、ここにたどり着いた次第です。

こちらの文章を読ませて頂き、あ〜楽しい映画だったぁとしみじみ思い出しつつ、やっぱり最後が気になります!

どうやらこの映画が日本で公開するのか確定情報は無く、DVD販売予定も無いようなので、inaさんだけが頼りです。

何とかこっそりどういうエンディングであったかを、教えて頂けないでしょうか??

気になって、夜も寝られません。。

ぶしつけなお願いで大変恐縮ですが、人助けと思い何卒お願い致します。。。m(_ _)m
JUN
2011/09/03 16:30
こんにちは、コメントありがとうございます。
所用で留守にしておりまして、返事が遅れてしまい申し訳ありません(・∀・;

まずシネマート新宿のHPによると、本作は2012年公開(予定)とのことです。(予定)というのが気になりますが、おそらく一般公開、最悪でもDVDで発売されると思います。

さて、その上でもしもエンディングが気になるようであれば、お手数ですが
planeta_cinema@livedoor.com
までメールしていただければ、覚えているかぎりその後の展開を返信させていただきます(コメント欄を見る方もいらっしゃると思うので)。

余談ですが、管理人も飛行機で映画を見ている途中に終わってしまったことがあります(笑)イタリア映画の「Ex」というラブコメでしたが…
ina
2011/09/05 18:43
こちらにお礼を書きますね。

メールでの丁寧なご説明、ありがとうございました!
なるほどそういう結末だったのですね。逆回しになったので何か謎解き要素があるのかとも想像していたのですが、そう来ましたか。。

素敵な前向きな終わり方だったのですね。良かった。
DVDレンタルが出たら是非借りて見てみようと思います。
これからは着陸時間を注意しながら、機内映画を楽しもうと思います(笑)。

それでは、本当にありがとうございました!
今後もたまに覗かせて頂こうと思います。
JUN
2011/09/08 00:18
いえいえ、お役に立てたようで良かったです(´∀`

本作のエンディングの爽やかさは、やはり文字では伝わりきらないと思いますので、ぜひご観賞ください。

それでは、たまに覗いてやってくだされば嬉しいです。
ina
2011/09/09 01:01

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