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zoom RSS 『12:08 East of Bucharest』 カメラドール受賞作 その1

<<   作成日時 : 2011/04/09 23:55   >>

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いま世界的に注目されているルーマニア映画。その中でも2006年のカンヌ映画祭で新人監督賞「カメラドール」を受賞し、その注目をさらに強いものにした『12:08 East of Bucharest』を紹介します。少し地味かもしれませんが、面白みの中に監督の洞察が隠されているいい映画だと思います(・∀・

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『12:08 East of Bucharest』(2006)
原題『A fost sau n-a fost?』
監督/脚本 Corneliu Porumboiu(コルネリウ・ポルンボユ)
製作 ルーマニア
受賞歴 2006年カンヌ国際映画祭 カメラドール

◎あらすじ
 1989年の12月22日12時8分――それは、チャウシェスクが権力の座から引きずり降ろされた、ルーマニア革命が起こった時刻。それから16年後の12月22日、ローカルテレビ局の経営者ジデレスクは「私たちの街にも革命はあったのか」というテーマを掲げた討論番組を企画する。しかし集まった出演者はアル中教師マネスクと、頼まれてはサンタクロースを演じる老年のピスコッチだけ。この番組、どうなるの?

◎感想
 今回はカンヌ映画祭の新人監督賞であるカメラドールを獲得した『12:08 East of Bucharest』を紹介します。ウィキペディアのカメラドール一覧のページには『ブカレストの東、12時8分』という題名で書かれていますが、管理人が調べたかぎりでは映画祭などでも上映されたことがなく、おそらく正式な邦題はまだ存在しない作品だと思います。しかし、紹介される機会がないのが不思議なくらい(ちょっと短いんですが)、キラリと光る小品です(・∀・

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さて、この作品は大きく二つのパートに分けられます。前半はテレビ局の経営者でもあり討論番組のホストも務めるジデレスクと二人の出演者の暮らしを描いています。ジデレスクは出演者集めに電話をかけまくるものの相手にされず、教師のマネスクは酒場でツケをためたりなんだり。客観的に見て、あまり普段の生活がうまく行っているようには見えません。

この前半の街のシーンは、全体的に青みがかった映像になっています。舞台は12月、東欧の冬だからそもそもとても寒いはずなのに、さらに冷たさを感じさせる画面作り。これは、革命後のルーマニアの人々の生活や心境を反映しているのかなと感じました。というのも、革命によって共産主義が崩壊して資本主義に移行してから、資本主義の常ですが、ルーマニアでも貧富の差が大きくなったようです(こんなwikiの記述も)。この作品に出てくるマネスクやピスコッチも、資本主義経済になって儲けたというタイプではありませんし。

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 物語の後半は、実際にテレビの討論番組を見ているようなスタイルになりますが、この作りは面白かったです(・∀・ この番組の生放送シーンこそがやはり本作の中心でしょう。「私たちの街に革命はあったのか」という問いは、「1989年12月22日12時8分にテレビでチャウシェスク政権崩壊を知る前に、街でデモや抗議活動をした者がいるか」という問いに具体化されます。ジデレスクのこの問いに「Yes!」と答えたのがアル中教師マネスク。彼によればマネスクや何人かの教師が、街で抗議の声を上げたそうなのですが……この先は作品を見てのお楽しみ。

 本作は、微妙にブラックジョークやフザけた部分があり、肩の力がいい具合に抜けた映画になっています。個人的にはテレビ番組の放送中に、暇をもてあましたピスコッチが好き勝手し始めるところで笑いました。テンポも良くて、必要なことを必要なだけ見せて、無駄がないという印象。89分、気持ちよく鑑賞できました。

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 その一方で、少し真面目にこの映画から感じたことを書くとすれば、それはやはり人々にとって「革命」とは何か、何であったのかという問題意識でしょう。ルーマニア映画の多くはチャウシェスクの共産主義時代となんらかの形で関係していますが、この作品はむしろ、それを終わらせた革命、そして革命後のルーマニアに焦点をあてています。それだけでなく、革命という歴史の教科書に載るような出来事をリアルタイムで経験した人々は、それを十数年後にどのように回顧するのかということを描いています。人間って、過去を美化して語ってしまうものですよね。

 とにもかくにも、いい映画です。映像の雰囲気も素晴らしくて、とくに映画を見終えて初めて、冒頭とラストの叙情的なカットの意味が分かるあたりにはやられました。それから、ピスコッチのおじいちゃんがいい味出してました。これはかなりオススメの良作です(・∀・ UK版はいまビックリするほど安いので(笑)、ぜひ!

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本作の監督インタビューを和訳した「その2」はこちら!
http://planeta-cinema.at.webry.info/201104/article_2.html


そういえば、コルネリウ・ポルンボユ監督の新作のDVDがイギリスで発売されたみたいですね。これは買わなくては。

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