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zoom RSS 『レクイエム〜ミカエラの肖像』 ハンス=クリスティアン・シュミット監督 その1

<<   作成日時 : 2011/04/25 22:15   >>

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今回はドイツの俊英ハンス=クリスティアン・シュミット監督の『レクイエム〜ミカエラの肖像』を紹介します。ずっと観たいと思っていて、DVDを買おうかと思っていた矢先に、先日シネフィル・イマジカで放映が。作品も素晴らしかったですが、シネフィル・イマジカも素晴らしいです(´∀`*

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『Requiem』(2005)
シネフィル・イマジカ放映タイトル『レクイエム〜ミカエラの肖像』

監督 ハンス=クリスティアン・シュミット
脚本 ベルント・ランゲ
出演 サンドラ・ヒューラー…ミカエラ・クリングラー
   ブルクハルト・クラウスナー…カール・クリングラー
製作 ドイツ
受賞歴 2006年ベルリン国際映画祭 銀熊賞(女優賞):サンドラ・ヒューラー

◎あらすじ
 意識を失う発作のために一年間休養していたミカエラは、念願だった大学に合格する。友人もできて順調に見えた大学生活だったが、発作はさらにひどくなってしまう。医者は原因を特定できず、信心深いミカエラは牧師に相談するが……。『エミリー・ローズ』と同じ実話に基づく作品。

◎感想
 本作は『エミリー・ローズ』と同じく、アンネリーゼ・ミシェルという長年の病気に悩む女性が「悪魔祓い」ののちに死亡したドイツの事件をモデルにしたフィクション作品です。『エミリー・ローズ』が彼女の死亡後の法廷劇であるのに対して、この作品はミカエラがいかにして「悪魔祓い」を受けるに至ったのかを描いています。それでは、さっそく感想を。

 まず管理人は大のホラー映画嫌いなのですが、ホラー的な要素はほとんどありませんのでご安心を。というよりも私見では、本作はホラー映画でも宗教的な映画でもなく、一人の若い、そして繊細な女性を描いたヒューマンドラマです。そして、一人の人間を追った映画として、人間の心情を理解しようとした映画として観るならば、いい映画といえるのではないでしょうか(・∀・

 その繊細な女性が主人公ミカエラ。意識を失う発作のため休養していましたが、大学進学をきっかけに一人暮らしをすることに。一年間の休養のためか、大学でもぎこちなさを感じさせる彼女ですが、ちょっとしたきっかけでハンナという友人ができます。

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 このあたりまでで、なんとなくミカエラの人物像というのが見えてきます。マジメで、信心深く、これまで内向的だった分、一人暮らし+友人ができた開放感でときどき気分が高揚したところを見せるといった具合でしょうか(ちょっと何を考えているのか分からないところもありますが)。鑑賞者の多くはこの話の結末をはじめから知っているわけですから、彼女のいじらしさだったり、楽しそうなところを見てなんとも言えない気持ちになるのではないかなと思います。

 しかし、幸せな大学生活は長くは続かず、また発作が起きるようになってしまう。ここからはもう、いいことなんてほとんどありません(笑)。管理人は嫌いじゃない(むしろ好き)ですが、主人公がうまくいかず、気分が落ち込んでいくような作品が嫌いな人は、この辺りで作品から距離を取ってしまうかも。
 でも、作品としてはここからが真骨頂。発作に悩むミカエラの心情はいかなるものなのでしょうか。原因不明の発作に自分がどうなってしまうのかという不安があるはず。しかしそれ以上に彼女が危惧するのは、両親(とくに母親)に発作が治っていないことがバレて一人暮らしができなくなること。自宅での療養のあとで楽しい大学生活を味わったらそうなるのは当然でしょうし、彼女のような病気でないにしても、同じような境遇であれば自分だってそう思うでしょう。そのために嘘をついたり隠し事をして、事態が悪化するとしても。

 こうしてミカエラは両親にバレる前に発作を治そうとするわけですが、当然医者には治療できません。そこで牧師に相談するのですが……このあとは映画を観てもらうことに。

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 さて、この中盤以降で、ミカエラの心情はさきほどの不安の段階から少し変化している気がしました。牧師に相談するものそうですが、発作を治すため、あるいは大学生活を続けるために、もはや彼女は誰かに頼らざるをえません。頼る相手は、牧師もそうですが、友人のハンナ、あるいは優しい父親などがいます。そして、ミカエラ自身に不穏な変化が現れるようになるのとあいまって、彼女にとって他人との関係が問題になってきていると感じました。ミカエラが彼らをどう思っていたのだろうかということは、漠然とですが、映画の後半を観る中でつかめるような気もします。しかし、ミカエラを理解する、ひいては彼女のような困難な状況にいる人間を理解しようとするならば、むしろ彼女が他人(=私たち)をどう思っているのかが分からないといけないのかもしれません。牧師や母親、そして父親も、ミカエラのことを考えているように見えて、何かが足りないと感じさせます。

 そうして最後に彼女はある決断をします。実は、よくよく考えてみると最後のミカエラの決断というのはどうしてそうなるのか完全には理解できてない気がします(´∀`; しかし作品の主題は、彼女がこの決断に至るまでの人間描写にあると思っています。ぜひ鑑賞された方はこの件について教えてください(笑)。

 ということで、簡単に作品について書いてきましたが、物語以外にも素晴らしい部分が。それはハンス=クリスティアン・シュミット監督。70年代のドイツの小さな町の雰囲気、あるいはこの映画の物悲しい雰囲気を伝える映像を見せてくれました。作品の出だしと終わらせ方もいい感じで、個人的には非常に好みの監督な気がします。日本では『23 トゥエンティースリー』という作品がビデオ化されている以外は映画祭のみでの紹介にとどまっている監督なのですが、本作を見て他の作品も観たくなりました。

 というわけで、個人的にはかなりオススメできる作品です。シネフィル・イマジカでは、4月27日にもう一度放送があるそうです。またDVDもドイツ版、UK版があります。とくにUK版は相変わらず値段が安い模様。ぜひご鑑賞を!

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本作の監督インタビューを和訳した「その2」はこちら!
http://planeta-cinema.at.webry.info/201104/article_4.html

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