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zoom RSS 『Or, My Treasure』 カメラドール受賞作 その1

<<   作成日時 : 2011/05/16 00:44   >>

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今年もカンヌ映画祭の季節がやってきました(・∀・ 今回は7年前の同映画祭でカメラドールを獲得したイスラエル映画『Or, My Treasure』を紹介します。このブログで紹介してる多くの作品と同様、ちょっと地味な作品です。しかし、無視してよい作品でもないと思うので取り上げます。

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『Or, My Treasure』(2004)
監督/脚本 Keren Yedaya(ケレン・イェダヤ)
出演 Dana Ivgy(ダナ・イヴギ)…Or(オア)
   ロニ・エルカベッツ…ルーシー
製作 イスラエル・フランス
受賞歴 2004年カンヌ国際映画祭 カメラドール
同映画祭 批評家週間グランプリ ほか3賞

◎あらすじ
 18歳のオアは、テル・アビブで母親と暮らす高校生。レストランでアルバイトをしているが、それは自分のためではなく母・ルーシーのためだ。生計のために売春を続け、入院していたルーシーを案じたオアは、退院した母に家政婦の仕事を紹介し、売春を辞めるように説得するが……。

◎感想
 というわけで11日に開幕したカンヌ関連ということで、カメラドールを受賞したこの作品を選んでみました。ちなみにカメラドールは新人監督賞なので賞の格として低く見られがちなのか、あるいは監督に知名度がないからなのか(新人だから当然の話ですが)、受賞作はあまり日本では配給されていないようです(過去10年では11本中4本が配給されたのみ)。

 さて、それでは『Or』の話に入っていきましょう。あらすじの時点で、なんというか明るい話でないのが伝わったでしょうか(´∀`;
 主人公、そしてタイトルにもなっているオアはごくごく普通の女の子。18歳で、ちょっと気になる男の子がいたりと、青春を迎えております。『Or』という作品は、そんなオアの、おそらく人生でも非常に重要な時期を描いた作品です。

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 母親との二人暮らしにもかかわらず、母親はつい最近まで入院していました(映画の最初で母親が退院してくる)。それでアルバイトをしたり、売春以外の仕事をしたことがない母親に仕事を紹介したりするなど、健気に生きるオア。映画前半のオアを見ていると、彼女自身が普通の女の子だとしても、周囲の環境が、自分のような日本人が考える「普通の女子高生」であることを許してくれないという印象を受けます。あと、少し『ロゼッタ』を思い出したりもしました。

 おそらく予想できると思うので、もう少し先まで映画のストーリーについて語らせてください。オアに紹介された家政婦としての仕事にしぶしぶ行く母ルーシーですが、彼女はやはり売春をするために道端に立ちたいという気持ちを抑えられません。それが原因で、オアと母親の関係、あるいはオア自身が変わっていきます。
 母親のために健気に、懸命に生きるオアは、まるで彼女の方が母親であるかのよう。とくにオアが母親に対して「私を頼って(字幕はyou can count on meだったかな?)」と言うシーンは印象的でした。

 と、これだけ書くとイイ話なのですが、その後どうなるのかは実際に『Or』を鑑賞していただきたいと思います。ただ観終えても、管理人にはいくつか分からなかった点が残りました。

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 まず、母ルーシーがどうして売春を辞められないのかということが完全には理解できませんでした。おそらく彼女にとって売春はお金を稼ぐ以上のものになっているのだという程度の理解です(男に必要とされたいという欲求があるとか)。一応この点で、売春が女性を金銭的に支配し、そしてその間に精神的にも支配するという、売春の問題点が指摘されていると言えるかもしれません(この映画のテーマは、監督によれば「売春」の問題点を暴露することにあるそうです:インタビュー参照)。しかし、それよりももっと分からなかったことがあります。

 それは、映画の後半でオアが何を考えているのか、考えたのかということ。なんとなく、消化不良な感じが自分の中では残っているのですが……(・∀・;

 それから、映画全体について感じたことなども少し。個人的には、「イスラエル」ということを作品の特色、もっと言えば武器にしていないイスラエル映画という印象を『Or』からは受けたのですが、それはとても良かったと思う部分です。言い換えれば、舞台が他の街でも映画が成り立つような普遍性があると思います。
 もちろん、そうは言ってもイスラエル的な部分もあるかもしれませんが、少なくともそれが作品の本質に関わるものだとは感じませんでした。売春が問題になるのは、あるいは女性の生が問題となるのは、なにもイスラエルだけの話ではないはずだからです。

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 以上のように、自分はイスラエルの問題を指摘した映画というよりは、オアという女の子の人生を描いた作品として『Or』という映画を受け止めました。実際ストーリーはかなり予想できるものでしたが、唯一意外であったラストの描写が(ラストは予想できるけど、ここで終わるとは…)作品に奥行きを、そして観客になんとも言えない胸苦しさを与えます。こういう感じで終わらせられると、いろいろ思うことが出てくる(というかメモってある:笑)のですが、ネタバレはしたくないのでこの辺りにしておきましょう。

 作品の作りはシンプル、というより地味ですが、一見の価値はあると思う作品です。不快になるほどではないですが性的な場面があるので、苦手な方は注意。DVDはアメリカ(US)版とフランス版のみ発売されているようです(US版は英語字幕あり)。ukのDVDよりは高いですがぜひ。

本作の監督インタビューを和訳した「その2」はこちら!
http://planeta-cinema.at.webry.info/201105/article_3.html




 ちなみに余談ですが、オアを演じたダナ・イヴギが、(眉毛太かったのに)とても美人になっていてビックリ。
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 さらに関係ないですが、今年のカンヌはすごい楽しみですね。個人的には、どの監督よりも好きなダルデンヌ兄弟の新作があるというのがもう……これだけで来年まで生きていけます(笑)。流石に三度目のパルムドールは難しいと思いますが(・∀・;

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