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zoom RSS 『ラ・ニーニャ・サンタ』 ルクレシア・マルテル監督 その1

<<   作成日時 : 2011/07/16 23:31   >>

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あまり馴染みがないかもしれないアルゼンチン映画。その中でも二作連続でカンヌのコンペに選ばれ、世界的な評価を受け始めているルクレシア・マルテル監督の作品を取り上げたいと思います。まずは管理人イチオシの『ラ・ニーニャ・サンタ』からいきましょう(・∀・

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『La niña santa』(2004)
映画祭上映題『ラ・ニーニャ・サンタ』/英題『The Holy Girl』

監督 ルクレシア・マルテル
製作 アルゼンチン
受賞歴 2004年カンヌ国際映画祭コンペディション部門出品

◎あらすじ
地方でホテルの経営をしている母と二人で暮らすアマリア。いまホテルには医学学会のために集まった多くの医者が泊まっている。ある日アマリアは、集まった医者の一人であるハノに、人ごみの中で身体をすりつけられる。宗教の授業で神からの使命について議論していた彼女は、それをきっかけにハノに近づくことが自分の使命であると確信するようになり…。

◎感想
 今回、そして次回はアルゼンチンの女流気鋭監督ルクレシア・マルテル監督の作品を紹介しようと思います。まず今回取り上げるのは、監督第二作となる『ラ・ニーニャ・サンタ』です。ちなみに本作、第一作『沼地という名の町』(管理人は未見)、そして次回取り上げる第三作『頭のない女』、いずれも日本では映画祭のみでの上映となっていますが、海外での評価は高いようで、いずれも各国でDVDが発売されています。
 それでは、『ラ・ニーニャ・サンタ』の感想にいきましょう。管理人が最初に見たマルテル監督作がこの作品なのですが、まず一言、すごいじゃんルクレシア・マルテル!(笑)。

 さて、本作には相反する二つの要素があり、それが絡み合って一つの物語を作り出しています。その要素が何かということは、主人公アマリアについて少し説明すれば分かってもらえるでしょう。

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 まだ14歳のアマリアですが、友人のジョゼフィーナの影響もあって、性的なことがらに興味を持ち始めています(その点で本作をいわゆる「性の目覚め」を描いた映画の一つと捉える見方もあるようです)。学校でも授業中にジョゼフィーナと「あの先生がキスしてた〜」みたいな話をしていたりします(笑)。
 その一方で、「使命」について議論している宗教の授業にも関心があり、お祈りを暗記していたりするという側面もアマリアにはあります。つまり、宗教と欲望という対立する二つの要素が彼女の中にあると言えるでしょう。そして物語自体もまた、その二つの要素を含みながら展開していきます。

 その物語が動き出すきっかけとなるのは、街角でテルミンを演奏している音楽家に群がる人混みの中で、ホテルに泊まっている医者・ハノが自分の局部をアマリアにこすりつけるというシーン。観ていてなんとも気恥ずかしくなりましたが(・∀・;、ここでハノが欲望を持つ人間として描かれているのは明らかです。そして、それと同時にアマリアに芽生えかけていた欲望も具現化していきます。

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 しかし、アマリアはこの出来事や芽生えた欲望を「ハノに近づくように」という神からの「使命」だと受け取ります。このプロットは上手いと思いました。これによって、本来は悪いことだと否定されるような欲望、言ってしまえば「男に近づく(あるいは関係を持つ)」ということが、聖なる目的に変わってしまうからです。こうして、聖なるものと欲望、あるいはより抽象的に言えば、善と悪が混ざり合っていくことになります。

 ところが、神の使命に応えようとするアマリアですが、ハノ医師が実は家庭持ちだったり、アマリアの母・エレナも彼に熱を上げてしまったりとなかなか近づくことができません。しかし障害があればあるほど気持ちは盛り上がるもので……このあとは、見てのお楽しみに(´∀`

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 本作ではアマリアも、友人のジョゼフィーナも、母親のエレナも、そして痴漢男ハノ(笑)もみな欲望を持つ人間として描かれています。その一方で、アマリアには聖なる使命があります。このような『ラ・ニーニャ・サンタ』のテーマはやはり、聖なるものと欲望、あるいは善と悪についてでしょう。その中でもとくに、それらが混ざり合ってしまうこと、「それは悪いことだからダメだ」と簡単には言えなくなってしまうようなことがあるということに焦点が当てられていると思いました。ただ、アマリアが感じる「使命」が本当に使命であって、聖なるものなのかということは疑えるかもしれません。それも欲望であって、やはり欲望は欲望なのだと言いたくなる気もします。

 また、善と悪ということでいえば、登場人物たちには二面性があるように感じました(ハノだって、痴漢のようなことをする一方で、家庭を持つ医者であるわけで…)。とくにそれを感じたのが、アマリアと友人のジョゼフィーナ。主人公ではないですが、ジョゼフィーナも結構イイ性格をしています。思春期の女の子というのは、なんとも言えない怖さを持っているなぁと感じてしまいました(・∀・;笑

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 最後にマルテル監督についていくつか。まず本作を見て思ったのは、見せるところは見せるんだけれども、見せないところの選択が絶妙だということ。とくに後半は、ここを見せないのか!と思いつつ、あとになって確かに見せなくて良かったのかもと考えさせられることも何度か。評判通りの技量を持つ監督だと思いました。

 またマルテル監督はいわゆるミニマリズムの方向で作品を撮っています。背景音楽(BGM)は作品中では一度も使われません。その分テルミンが出てきて、何度か鍵となるタイミングで使われているのが印象的でした。
 ただしミニマリズムと言われる作品であっても、ハッとするような、あるいは本当に綺麗だと思える映像を撮る監督たちがいるわけですが、本作の映像に関しては、釘づけになるようなショットや、美しいと思えるようなカットはなかった気がします。監督自身が狙っていないのかもしれませんが、個人的にはさらに期待したいところです。

 とはいっても、見終えたときには、はっきりといい作品を見たと管理人は思えた作品です。確かに一般公開されるような作品でないのも分かるのですが、映画好きな方の中には自分と同じように気に入る方もいるんじゃないかなと思う作品です。DVDはUK版、US版が見やすいと思いますが、いまはどうやらUS版の方が安い模様(ただしUK版ならパソコンでそのまま見れます)。

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本作の監督インタビューを和訳した「その2」はこちら!
http://planeta-cinema.at.webry.info/201107/article_3.html

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