ぷらねた 〜未公開映画を観るブログ〜

アクセスカウンタ

zoom RSS 『リリア 4-ever』 ルーカス・ムーディソン監督 その1

<<   作成日時 : 2011/10/17 01:12   >>

ブログ気持玉 0 / トラックバック 0 / コメント 0

二回連続で更新が遅れていたため、珍しく早く更新します(笑)。未公開映画の中ではかなり知名度の高い作品である『リリア 4-ever』 を取り上げます。管理人が見たのはもう数年前ですが、いまだに記憶に焼き付いて離れない傑作です。シネフィル・イマジカでの再放送に便乗して紹介!(・∀・

画像


『Lilya 4-Ever』(2002)
シネフィル・イマジカ放映タイトル『リリア 4-ever』
監督/脚本 ルーカス・ムーディソン
出演 オクサナ・アキンシナ…リリア
製作 スウェーデン
受賞歴 2002年ヒホン国際映画祭 作品賞・女優賞・審査員賞ほか

◎あらすじ
 旧ソ連の貧しい街で母親と暮らすリリア。恋人とアメリカへ移住した母親に置き去りにされてしまったリリアは、やがて生活のために売春をするようになる。友人の少年ヴォロージャと支え合いながら苦しい生活を送る中、リリアは優しい青年アンドレイと出会う…。

◎感想
 未公開映画の中ではとりわけ有名な作品『リリア 4-ever』を紹介したいと思います。本作についてはすでにいろんなブログさんが取り上げていて、拙ブログで記事にすることもないかなと思っていたのですが、監督インタビューの邦訳がまだないようなのでシネフィル・イマジカの再放送に便乗して更新しちゃいます(・∀・

 さて、本作は人身売買や売春といった現実の世界で起きている問題を正面から扱っています。その描写のリアルさ、凄惨さによって問題を提起することが、この作品の重要な要素の一つであり、その部分を高く評価する人もいるでしょう。一方で自分が本作を傑作だと思うのは、そうした問題を扱いつつもお説教くさくならず、リリアという少女を追った一つのドラマとして観ても素晴らしいものがあると感じたからです。

画像


 主人公のリリアは、母親と二人暮らし。恋人とアメリカへ行くという母親と一緒に自分もアメリカへ移住できると思っていたけれども、母親はリリアを置き去りにしてアメリカへ行ってしまいます。舞台はソ連の貧しい街ということになっていますが、娘のこの先の生活のことなどまったく考えずに置き去りにするあたり、自分だけはよい暮らしを送りたいというエゴが強く現れていると感じました。いきなりこの展開ですが、大丈夫、本作はこのあともっと救いのない展開になります(´∀`;

 母親が生活費をアメリカから送ってくれるはずもなく、すぐにリリアはお金に困るようになり、結局売春をするに至ります。そんなリリアの心の支えとなるのが、友人の少年ヴォロージャ。彼も父親から虐待を受けているという、容赦のない設定なのですが、この救いようのない映画の中で、リリアとヴォロージャの交流だけが唯一あたたかいものです。このヴォロージャの存在、リリアと彼との友情というのは、ドラマ的・映画的と言えるかもしれません(現実には友達すらいないで、一人孤独に売春をして生きる少女もいるはずです)。このあたたかな要素によって監督は、ただ現実をそのままカメラで切り取ったように描写するのではなく、何か人間への希望を見出そうとしているのかなと思いました。

画像


 そうした生活をしているうちに、リリアは自分に親切にしてくれる青年アンドレイと出会い、やがて二人はイイ感じになるのですが…このあとは実際に鑑賞してのお楽しみに(本作についてはあらすじを知っている方も多い気がしますが)。

 とはいえ、予想される通り本作の内容は最後まで決して明るいものではありません(ただ、もっと暗くて救いのない映画もあると思います)。しかしそれは脚本を書いたルーカス・ムーディソン監督のせいではなく、現実のせいなのです。そしてこの映画を見て怒りや不条理さを感じる人間は、現実の世界においてこの映画よりもさらに悲惨な形で起きている出来事についても同様の感情を持つべきなのでしょう。それが監督が本作を作った第一の狙いだと思います。この点について監督は、自分の意見を映画の中で前面に押し出さず、現実をできるだけそのまま描写することによって成功させていると思います。とくにそれによって作品が「説教くさく」なることをまぬがれているのが良かったです。

 その一方で管理人は、本作を人間を描いた作品としても捉えたいと思っています。本作はとくに人間の負の側面、悪の側面をこれでもかというくらいに暴いて見せてくれます。リリアを置き去りにする母親、リリアのおばさん(だったかな?)、リリアを「買う」すべての男たち、そして後半に出てくるすべての人間――彼らはみな「自分がよければいい」という利己心から行動しています。その行き着く先が映画の後半であり、現実に起きている人身売買、売春の強制といった搾取であり、人間の悪なのでしょう。

画像


 ただし監督は本作でただ現実だけを、人間の悪い側面だけを見せたわけではありません。監督が描いた人間への希望はヴォロージャという少年に託されています。ヴォロージャは二つの仕方で描かれますが(映画を観た人には伝わるはず)、後半の姿はすでに前半の時点でもそうだったんじゃないかなと管理人は思っています。また後半の描写は映画の現実性からそれていると感じる方もいるかもしれません。管理人もはじめは少し蛇足に感じたのですが、今ではあの描写こそが現実から離れ、映画でしか語ることのできない人間への希望なのだろうと捉えています。問題はそれが現実の世界でも実現できるかどうかなんですね。

 本作『リリア 4-ever』は10月23日、27日にシネフィル・イマジカで放映されるそうです。またDVDは、イギリス・フランス・ドイツなど各国版が揃っている模様(そして日本版はないという事実!)。鑑賞するのは少しツライかもしれませんが、海外の評価や知名度、再放送が決まるほどの要望が示す通りの素晴らしい作品です。ぜひご鑑賞を(・∀・

画像


本作の監督インタビューを和訳した「その2」はこちら!
http://planeta-cinema.at.webry.info/201110/article_4.html

テーマ

関連テーマ 一覧


月別リンク

ブログ気持玉

クリックして気持ちを伝えよう!
ログインしてクリックすれば、自分のブログへのリンクが付きます。
→ログインへ

トラックバック(0件)

タイトル (本文) ブログ名/日時

トラックバック用URL help


自分のブログにトラックバック記事作成(会員用) help

タイトル
本 文

コメント(0件)

内 容 ニックネーム/日時

コメントする help

ニックネーム
本 文
『リリア 4-ever』 ルーカス・ムーディソン監督 その1  ぷらねた 〜未公開映画を観るブログ〜/BIGLOBEウェブリブログ
文字サイズ:       閉じる