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zoom RSS 『カサバ−街』 ヌリ・ビルゲ・ジェイラン監督 その1

<<   作成日時 : 2012/02/24 00:02   >>

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昨年のカンヌでは新作『Once Upon a Time in Anatolia』で審査員グランプリを獲得したヌリ・ビルゲ・ジェイラン監督。今回はそのジェイラン監督の長編デビュー作『Kasaba/カサバ−街』 を紹介したいと思います。モノクロの映像が美しい、詩的な作品です。

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『Kasaba』(1997)
英題『The Small Town』
シネフィル・イマジカ放映タイトル『カサバ−街』
監督/脚本 ヌリ・ビルゲ・ジェイラン
製作 トルコ
受賞歴 1998年ベルリン国際映画祭 カリガリ映画賞
    1998年東京国際映画祭 東京シルバー賞

◎あらすじ
 小さな姉と弟、二人の目を通して描かれるトルコの小さな田舎町の暮らし。姉が通う小学校、二人で歩く森の中。大人たちは夜、たき火を囲んで人生について語る――ヌリ・ビルゲ・ジェイラン監督の長編第一作。

◎感想
 以前3本ほど紹介したことのあるヌリ・ビルゲ・ジェイラン監督の長編デビュー作『カサバ−街』をようやく鑑賞したので感想を書きたいと思います。もっと早く観ていれば良かったと思わされる、なかなかの作品です。いまや名実ともにトルコを代表する監督になったヌリ・ビルゲ・ジェイラン、第一作目にして見どころのある作品を撮っていました(・∀・

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 まず簡単に本作を紹介すると、「トルコの田舎で生活している姉と弟、その家族の暮らしの一部分を切り取った作品」という感じになるでしょうか。あらすじを読んで想像がつくかもしれませんが、本作品には明確なストーリーラインはありません。一つの物語からではなくて、四季と対応した(と説明されている)四つのパート、四つの生活の様子を描くことで作品は成り立っています。以下、そのパートにあわせて書いてみたいと思います。

 第一部は、雪が降っている日の学校が舞台。姉が授業を受ける様子が描かれるのですが、このパートは冬の話だと分かります。モノクロの世界に映る雪景色が印象的。それから、つづく第二部は姉と弟が森を歩いているシーン。カメが出てくるのですが、個人的には好きなエピソードです。

 このはじめの二つの部分を本作の前半と呼ぶことができるでしょう。その特徴は、物語あるいはセリフが排されていて、シンプルに映像で訴えかけようとしていること。映像詩と言えばいいのでしょうか、トルコの田舎の子どもたちの何気ない日常を奇をてらわずに映すことで、素朴なんだけれども様々な感情を抱くことができるような詩的で美しいパートになっています。どういう話かはよくつかめないのだけれども、素敵だなぁと見とれていました。この前半の時点では、「これはもしかしたらジェイラン監督作で一番好きな作品になるかも!?」と思ったほどです。

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 さて、それが終わるとちょっと長い第三部に。ここでは、たき火を囲んで姉弟の家族である大人たちがそれぞれの思いを語り始めます。戦争に行って捕虜になった経験を語るおじいちゃん。街から唯一大学に行ったインテリなお父さん。徴兵を終えて、これから何をするか定まらない若い従兄……前半とは対照的に、セリフが増え、映像よりも言葉が力を持ち始めます。

 戦争を経験したおじいちゃんの話などを聞いていると、このパートでは、どうやら生と死を話題にしたいことが分かります。つまり、小さな田舎町で生きてきた大人たちは、自分の人生をどう捉えているのか?このことをキャラクターにたくして語らせようとしているのですが、ここはう〜ん。。延々とセリフだけでそれを語られても、残念ながら印象に残りません。前半までの美しく詩的な映像が鳴りをひそめて会話が続き、正直に言えば単調さのあまり眠くなってしまいました(・∀・;

 本作のテーマは「小さな街で生きること」を描くことにあると思います。前半ではそれが上手い具合に映像を通して伝わってきたのですが、第三部はちょっと直接的かつ安易な仕方でテーマを伝えようとしてしまったと感じてしまいました。

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 そして、その夜が明けたあとの第四部。意外というよりも唐突にラストは訪れるのですが、これはとても良かったです。第四部の意味は正直よくつかめてはいないのですが、このラストカットには唸らせられました。ぜひ実際に観てもらいたいと思います。

 まとめてしまうと、中盤の長い会話がなくて前半+ラストだけだったら、非常に好きな作品になっていたでしょう(笑)。いずれにしろ、こういう作品を長編デビュー作として製作するということは、自分のやろうとしていることに確信を持っていなければできないことであり、いやはやジェイラン監督には脱帽です。

 前半は物語の展開や意味が十全に説明されず把握しきれないのに素晴らしいと感じ、後半はセリフがたくさんあって意味は分かるのにいいと思えない。不思議な気もするけれど、映画を観ているとよくあることです(自分だけかもしれませんが)。実際に観てみると管理人とはまったく違った感想を持たれるかもしれません、ぜひご鑑賞を。
 本作は、イギリスで同監督の初期作品集として監督第二作『5月の雲』(次回更新予定)とセットでDVDが発売されています

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本作の監督インタビューを和訳した「その2」はこちら!
http://planeta-cinema.at.webry.info/201203/article_2.html

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