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zoom RSS 『Attenberg』 アティナ・ラシェル・ツァンガリ監督 その1

<<   作成日時 : 2012/04/28 01:40   >>

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今回は2010年のヴェネチア映画祭で最優秀女優賞を獲得したギリシャ映画『Attenberg』を紹介します。あの『Dogtooth』と同様のちょっと不思議な方向性から、「新たなギリシャ映画の波」などと海外では言われているようです(・∀・

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『Attenberg』(2010)
監督/脚本 Athina Rachel Tsangari(アティナ・ラシェル・ツァンガリ)
出演 Ariane Labed(アリアーヌ・ラベ)…マリーナ
   ヨルゴス・ランティモス…男性
製作 ギリシャ
受賞歴 2010年ヴェネチア映画祭 女優賞(アリアーヌ・ラベ)

◎あらすじ
 23歳のマリーナは、病に冒された父の世話をしながら海に面したギリシャの町で暮らしている。他人と関わることができない彼女は、アッテンボロー博士のネイチャー・ドキュメンタリーを見たり、唯一の友人であるベラから性的なレッスンを受けたりして毎日を過ごしていた。そんなある日、町を訪れた男性にマリーナは好意を持つ。

◎感想
 今回は、以前紹介した快作『Dogtooth』の製作にも関わっているツァンガリ監督の『Attenberg』について、あらすじやら感想を書きたいと思います。奇抜なスティールをネット上で見るたびにとても気になっていた作品でしたが、最後まで観てみると見た目に比べて意外と普通の映画でした(・∀・

 まず書きたくなるのは、特徴的で刺激的な本作のオープニング。白い壁の前に二人の女性が出てきてひたすらディープキス(というより舌の舐め合い)をするというものなんですが、個人的にはこのオープニング、結構好きだったりします。やっぱり映画のオープニングにはこちらを引き込んでいって欲しいので、のっけからインパクトがあって良かったです。そういうわけでこの時点では、とてもオリジナルな映画に出会えたかも!?と思ったのですが……。

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 さて、このキスをしていた二人の女性の一人が主人公のマリーナ。彼女はどうやら人間とうまくコミュニケーションを取れないようで、もう片方の女性ベラだけか唯一の友人のようです。普段は車の運転手をしながら、重い病気を患っている父を病院に連れていったり、家でアッテンボロー博士の動物に関するドキュメンタリーを見て過ごしています。そしてこの作品の最大の特徴なんですが、人間よりも(画面上の)動物と接する時間の方が長いマリーナは、動物のような動きをよくします(・∀・; 作品中、彼女だけでなく父親やベラも一緒になって動物のマネをするのですが、これはどう捉えればよいのか分かりませんでした(笑)。

 冒頭でも描かれているように、経験豊富な女性(っぽい)ベラは、動物ドキュメンタリーばかりを見て育ってきたマリーナに性的なレッスンをします。この書き方はダメな気もしますが(笑)、要はワイ談的な感じです(´∀`;

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 そして、ベラの影響で性的な行為への関心を持ち始めたマリーナに、町を訪れた男性との出会いが。この男性を演じているのが『Dogtooth』のヨルゴス・ランティモス監督。細かい理由などはもちろん描写されませんが、とにかくマリーナはこの男性に好意を抱き近づいていきます。この男性がなかなかに優しい人間のようにも思えるのですが、この二人は観ていてイイ感じ。

 つらつらと書いてきましたが、本作には明確なストーリーがないのでこのくらいにしておきましょう。いつもならこのあとは作品のテーマについて語るところですが、本作のテーマが実は悩みどころでした。

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 動物のドキュメンタリーばかりを見て動物的な動きをするとはいえ、マリーナは『Dogtooth』の子供たちと違って家の外に出られないわけではありません。父親とも仲よし。そのため、ある特殊な環境下の人間を描こうという作品には感じられませんでした。
 管理人が感じたのは、本作ではどちらかと言えば動物(というより、ドキュメンタリー番組における動物)が無垢な生き物として描かれていること。番組の中でアッテンボロー博士は、ゴリラたちが優しい生き物であると言わんばかりに接しています。それが人間になると、性的なことやらで無垢ではないものとして描かれる。マリーナがベラに「あんたは肉食動物よ」みたいなことを言うシーンもありました。このあたりの性の目覚めやらが一つのテーマなのかもしれませんが、深い描写はなし。

 というわけで、後半に至るまで、本作のテーマがよくつかめないまま観ている状況でした。が、終盤に入ってなんとなく、むしろこれは「父と娘」の映画なのかなと思うようになりました。というのも、後半は病気の父に関するシークエンスが多いんですよね。とくに、それまで父とベラ以外の人間と接することなく生きてきたマリーナが、父を失いそうになったときにどうするのか、というポイントがあります。一見奇抜に見えるマリーナですが、映画が進んでいくにつれて、それほどヘンな女の子ではないと感じられてきます。ですから、本作は意外と普通なテーマを描いているのかもしれません。ただし、「<父と娘>がどうだと言いたいんだ?」という疑問に答えるような踏み込んだ描写もなく……あらら(・∀・;

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 本作は一つ一つのシーンは面白く、奇抜なことをしています。しかし、最終的には奇抜さを気にするあまり、映画において重要な「伝えたいもの」がなおざりにされている印象を受けてしまいました。比べるのはよくないかもしれませんが、そのあたり『Dogtooth』は奇抜さ・テーマ性・そして娯楽性をうまく兼ね備えていたと思います。

 とはいえ、一つ一つのカットにはオリジナリティがあり、こうした挑戦的な映画があるということは嬉しいことです。とくにいくつかのカットは美しく印象的で、ツァンガリ監督の次回作が楽しみ。ヴェネチアでの女優賞以外にも、テサロニキやブエノスアイレスなどの映画祭で賞を獲得した本作、DVDはイギリスで発売されています。性的な描写はそれほどハードではないので、オープニングで引いてしまった方も安心して?どうぞ。

・途中に書くのを忘れましたが、本作のタイトル『Attenberg』は、マリーナがアッテンボロー博士の名前を聞き間違えたところに由来していたりします。
・さらに追加すると、ヴェネチアで女優賞を獲得したアリアーヌ・ラベさん。綺麗な方だし、面白い役を演じ切っていましたが、女優賞を受賞するほどかと言えば……。この年はタランティーノが審査員長をして、審査結果に報道陣からブーイングが起きた年ですが、『SOMEWHERE』(2011年に観た作品の中で個人的には最低ランク)に金獅子賞をあげたのはもちろん、やはり微妙な審査結果だったかなぁと改めて思う次第。

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本作の監督インタビューを和訳した「その2」はこちら!
http://planeta-cinema.at.webry.info/201204/article_5.html

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