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zoom RSS 『Las Acacias』 カメラドール受賞作 その1

<<   作成日時 : 2012/05/06 01:07   >>

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昨年のカンヌ映画祭で新人監督賞「カメラドール」賞を受賞した、パブロ・ジョルジェーリ監督の『Las Acacias』を取り上げたいと思います。短い作品なのですが、穏やかな気持ちにさせてくれる愛すべき小品といった映画でした。これはカメラドール受賞も納得です(・∀・

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『Las Acacias』(2011)
監督/脚本 Pablo Giorgelli(パブロ・ジョルジェーリ)
製作 アルゼンチン・スペイン
受賞歴 2011年カンヌ国際映画祭 カメラドールほか

◎あらすじ
 長距離トラックの運転手ルーベンは、上司に頼まれてパラグアイからブエノスアイレスへと向かう道中、1人の女性を乗せていくことに。いざその女性ジャシンタに会ってみると、なんと彼女は生後五か月の赤ちゃんを連れてきた。はじめは二人と距離を置いてしまうルーベンだったが、長いドライブの間に少しずつ打ち解けていく。

◎感想
 というわけで、今年もカンヌの季節になりました。今年もコンペにはそうそうたる顔ぶれが並んでいますね。今回は昨年の同映画祭で新人監督賞にあたるカメラドールを受賞した『Las Acacias』を紹介します。わずか82分の短い作品ですが、観ていると本当に愛おしくなってきてしまう素晴らしい小品。自分はとても好きな作品でした(・∀・

 オープニング、まずは木々の葉の間から差し込む光が美しい。冒頭では林業の風景が映し出されますが、主人公は木材をパラグアイからアルゼンチンのブエノスアイレスへと運ぶトラックの運転手ルーベン。年齢は明らかにされませんが、40代くらいでしょうか。

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 そんな彼が上司に頼まれて、ジャシンタという女性をトラックに相乗りさせるところから物語が始まります。あらすじにも書いたように、上司から聞いていた話とは違い、ジャシンタは5か月になる娘アナイも連れてきていました。ちょっとだけ困惑したあとで、三人の旅が始まります。

 あまりおしゃべりをするタイプでもないようなルーベンとジャシンタ。はじめはトラックの中に沈黙が流れます。それでも、赤ちゃんのアナイがきっかけとなって、少しずつ会話をするように。こうしたタイプの映画にありがちなプロットとも言えますですが、はじめはよそよそしくても段々と打ち解けていくわけですね。

 とはいえ、本作は決しておしゃべりな作品ではありません。基本的にセリフが少ないうえに(英語字幕に抵抗がある人でも問題ないレベル)、説明的なセリフにいたってはかなり抑えてあります。ですからキャラクターの背景――たとえばジャシンタはなぜシングルマザーになったのかとか――はほとんと明らかにされません。もちろん、内容を理解する妨げにはなりませんが。

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 そうしてドライブをしていくうちに、はじめは赤ちゃんに戸惑う素振りを見せていたルーベンが、少しずつあやしたり面倒を見るように。ジャシンタもルーベンに対するよそよそしさや遠慮がなくなってきます。とはいえ短くてストーリーを追う必要のある映画でもないので、全体を通しての感想にいきましょう。

 本作は、ルーベンとジャシンタという孤独で、おそらくそれぞれに暗い過去を持つ二人の交流を描いていく作品です(その過去はほとんど明らかにはされませんが)。偶然に出会った人々が互いに優しくなれるというのは、実際にはなかなか難しいでしょうが、監督はそれとなく、そうできる可能性を見せてくれます。そしてまた、こう書くとなんというかお決まりの話で退屈に思われるかもしれませんが、交流の「過程」の描き方がとても良かったので、82分間あたたかい気持ちで鑑賞することができました。

 それから、セリフが少ない・上映時間82分ということも含めて、とても簡潔にまとまっている映画だという印象を受けました。BGMもなければ、無駄に凝ったカメラワークもなし。必要なものを必要なだけ見せて、いさぎよく幕を閉じる、そういう作品です。この監督のスタイルは好感が持てるし、実は実力がないとできない作風だと思います。つまらない映画がグダグダするのと対照的と言ってしまいましょうか(・∀・;

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 ちなみに短い映画だと書きましたが、さらにその半分くらいはトラックの中のシーン。でもこれがとても効果的でした。はじめからラストに至るまで、少しずつトラックの中の雰囲気が変わっていくのが見てとれるんですよね。三人にあわせて、こちらまで穏やかな気分になれました。

 とくに良かったのはルーベン。根は優しいのだろうけど、不器用なところがあって、共感したりいじらしい気持ちになって観ていました。演じたヘルマン・デ・シルバさんの見せる、無愛想だったり、穏やかだったりする表情もいい。ちなみに途中で分かるのですが、ルーベンには息子がいて、初めて会ったのがすでに彼が4歳になっていたときらしい。自分の子供が赤ちゃんのときに一緒にいられなかったからこそ、アナイ(赤ちゃん)に対して優しいのかも、なんて思ったり。

そして最後に一言言わせてもらえば、ラストがニクイ(´∀` いい映画だなーと思って観ていましたが、最後の最後でやられました。とても語りたいですが、あとは実際にご鑑賞を。
 DVD(とブルーレイ)はUK版が発売されています。管理人はUK版のDVDを購入しましたが、最近の商品だけあって画質はかなりよかったです。地味と言えば地味な作品なので一般公開は分かりませんが、ラテンビート映画祭あたりで上映される気もします。

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本作の監督インタビューを和訳した「その2」はこちら!
http://planeta-cinema.at.webry.info/201205/article_2.html

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