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zoom RSS 『静かな光』 カルロス・レイガダス監督 その1

<<   作成日時 : 2012/06/03 00:47   >>

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勝手に展開している「ぷらねた的カルロス・レイガダス週間」中に、監督が見事カンヌ映画祭監督賞を受賞されたそうです!(・∀・ 今回は、長編第三作にしてカンヌで審査員賞に輝いた『静かな光』を取り上げます。管理人がいまのところ一番好きなレイガダス作品にして、完璧な傑作。

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『Silent Light』(2007)
原題『Stellet licht』
映画祭上映タイトル『静かな光』
監督/脚本 カルロス・レイガダス
製作 メキシコ・ドイツ・オランダ・フランス
受賞歴 2007年カンヌ国際映画祭 審査員賞

◎あらすじ
 メキシコに住み、保守的ではあるが穏やかに暮らしているメノナイト教徒の人々。主人公のヨハンも、そのコミュニティの中で、妻子に囲まれ穏やかな暮らしを送っていた。しかし、彼はマリアンヌという女性と不義の恋に落ちてしまう……。

◎感想
 今回はカルロス・レイガダス監督の長編第三作にして、管理人がもっとも好きな作品『静かな光』の感想です。何を隠そう当ブログの最初の記事が本作についてだったのですが、見返すとあまりにも内容の無い記事だったので、今回書き直してみました(・∀・
 そのときにも書いたことですが、管理人にこのブログを立ち上げさせた理由の一つがこの作品。東京国際映画祭で本作を観終えたとき、あまりの素晴らしさに呆然としてしまうとともに、本作が映画祭で数回公開されただけでお蔵入りになってしまうことに疑問を覚えたものでした。それでは感想いきましょう。

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 本作についてまず触れるべきは、夜明けを描くオープニングでしょう。夜の星空から始まり、日が昇ってくる光景がワンカットで映し出されます。このオープニングの美しさといったらもう!これをスクリーンで観れた6分間は、映画好き冥利につきる瞬間でした。オープニングだけで一気に映画の世界に引き込まれてしまうとともに、本作が素晴らしい作品であると確信しました。が、本当にすごいのはここからです。

 夜が明けて、映画はヨハン一家の朝の風景をカメラに収めます。家族と一緒に祈り、朝食を食べるヨハンでしたが、家族が去ると、ひとりテーブルで泣き出してしまいます。そんな彼の苦悩の理由はすぐに明らかになります。そう、ヨハンは妻エステル以外の女性マリアンヌと不倫をしていたのでした。これは厳格なメノナイト教のコミュニティの中では許されない恋です。

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 友人にマリアンヌへの想いを打ち明け、相談するヨハン。彼は、妻よりもマリアンヌを愛していることを告白します。そして、そのマリアンヌと密会するシーンへ。このシーンは個人的に好きなところで、彼女に会いに行くヨハンの足だけを映す演出が印象に残っています。

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 マリアンヌと密会をしつつも、やはり不倫という許されない恋に悩むヨハン。季節が冬に変わったころ、彼は自分の父親に、妻以外の女性に恋をしたと告白をします。そして、「エステルにもすべてを伝えた」と言うのでした……。

 不倫を知った妻エステル。あくまでも不倫の相手であるマリアンヌ。そしてヨハン。三人の関係がどうなっていき、いったい何が起こるのか。これはもちろん、観てのお楽しみということに。ちなみに本作は、これまでの監督二作に比べてストーリーに明確な筋があって追いやすく鑑賞しやすいと思います。

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 さて、それでは全体の感想にいきましょう。

 まず、あらためて今回見直した感想は、「完璧」ということ。ストーリー・テーマ性・構成・映像すべてが素晴らしく、整っていて、非の打ちどころがなかったです。

 映像面から語るとすれば、この作品に並ぶほど、観ていて美しいと思えるような映画はちょっと思い浮かびません。すべてのシーンが美しいといっても過言ではないでしょう。
 オープニングや密会時のカットについては言いましたが、他にもたとえば、子供たちが水辺で泳いだり遊んだりしているシーンも良かったです。それだけのことなのに、自然が、もう現実以上の魅力を持って映し出されます。水面の描写なんて、タルコフスキーに勝るとも劣らないと思います。
 そして、終盤の映像(どの辺りからは観れば分かるはず)。これはもう、ちょっと次元が違いますね。

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 そしてテーマについて。監督自身は本作をラブストーリーとして捉えているようですが、管理人は、愛情も含めて人間の生が肯定的に描かれていると感じました。恋に落ちてしまうことも、不倫してしまうことも当然のように人生の一部です。ヨハンは妻以外の人間に恋をしたために、彼女と関係を持ってしまったために苦しむことになりますが、人間誰しも生きていれば何かに苦しみ葛藤することはあります。そうであるならば、人間は悩み、もがくためだけに生きているに過ぎないのでしょうか。

 そうではない、と『静かな光』は言いたいように見えます。本作のラストは、奇跡的な仕方で人間の心の可能性を示しているように管理人には感じられます。そこで描かれている、崇高なまでの人間の可能性は、人間の生を肯定しているように思われてなりません。悩み苦しむ存在でありながら、人間には偉大な側面があるのではないか――監督の意図には反するかもしれませんが、本作はラブストーリーを越えてしまっています。

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 ちなみに、ラストはある作品への明らかなオマージュです(多くの方が気付くでしょう)。それについて監督がどう考えているかは「その2」を観てください。管理人は、ここでも監督の意図とは違ってしまうのですが、あのシーンからはどうしても宗教性・奇跡性を感じてしまいます(・∀・; しかし、そうした宗教性も含めて、人間には何かがあると本作は表現しているように思えてなりません。

 とにかく、あのラストをどう受け止めるのかによって、この作品から何を感じるのかが変わってくるでしょう。劇的な幕切れとなるわけですが、これはもう真の傑作と言うしかない作品です。興味のある方は、ぜひ実際に鑑賞してみて下さい。DVDはUK版が発売されています。

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本作の監督インタビューを和訳した「その2」はこちら!
http://planeta-cinema.at.webry.info/201206/article_2.html


独り言:新作『Post Tenebras Lux』は批評家の間ではかなり評判が悪かったようですね(・∀・; おそらく完全に物語の筋といったものを飛び越えていってしまったのかななんて想像しているのですが、監督の創り出す映像はさらに進化しているはずなので、新作が観られるのを楽しみに待っています。一般公開が難しくても、以前特集をした東京国際映画祭ならきっと……。

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