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zoom RSS 『ベオグラードの罠』 スルダン・ゴルボヴィッチ監督 その1

<<   作成日時 : 2012/09/02 20:35   >>

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さてさて、今更感もありますが、今回は2月にシネフィル・イマジカで放送された『ベオグラードの罠』について更新します。録画したまま最近まで観忘れていた作品ですが、もっと早く観れば良かったと思うイイ作品でした(・∀・ これから再放送もあるかもしれません。

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『The Trap』(2007)
原題『Klopka』
シネフィル・イマジカ放映題『ベオグラードの罠』
監督/脚本 スルダン・ゴルボヴィッチ
出演 ネボシャ・グロゴヴァッチ…ムラデン
   ミキ・マノイロヴィッチ…男
製作 セルビア・ドイツ・ハンガリー
受賞歴 2007年ソフィア国際映画祭 グランプリ

◎あらすじ
 セルビアの首都ベオグラード。官営会社で働くムラデンには8歳の息子ネマニャがいたが、突然倒れ、病院に運ばれてしまう。手術をしなければネマニャは助からないと宣告されるが、ムラデンと教師をしている妻マリヤの収入では高額な手術費を払うことができない。
 なんとかして費用を確保しようと奔走するムラデンのもとに、謎の男が現れる。彼が提示したのは、ある男を殺せば、報酬として手術費を払うというものだった……。

◎感想
 というわけで、今回は『ベオグラードの罠』を取り上げたいと思います。評判通りクオリティの高い作品で、「シネフィル・オリジナル」の幕を閉じるにふさわしい映画でした(・∀・

 物語は「最後に正しいことをしたい」というムラデンの独白から、回想の形で始まります。ムラデンと妻マリヤ、息子のネマニャはごくごく普通の家族で、幸せそうに暮らしています。しかし、ネマニャが突然倒れ、高額な手術を受けなければ長くはもたないことが判明。会社員と教師の夫婦には手術費を払えず、金策に奔走することになります。

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 ところで、ネマニャの手術費は26,000ユーロという設定です。日本円では300万円くらいですから、息子の命がかかっているなら、共働きの夫婦であればなんとか都合がつきそうにも思われます。が、wikipediaによれば、ベオグラードで生活する人々の平均月収は日本円にして5万円くらい。手術費がムラデンたちにとってどれほど高額のものであるのかが分かります。ちなみに、後述するようにこうした経済問題への視点も作品にはあるように感じました。

 ムラデンとマリヤは手術費を確保するため、悩みながらも新聞に広告を出して寄付を募ることにします。しかし、同じような寄付の広告がたくさんあって、二人に寄付をしてくれる人間は現れません。
 そんなとき、謎の男から突然電話が。話を聞いてみると、彼は手術費や渡航費を含めて3万ユーロを払うと言います……もちろん条件付きで。謎の男が提示したのは、「組織」の邪魔をする男を殺害すれば、報酬として金を払うというものでした。

 当然ムラデンは返事を保留しますが、ネマニャの症状は悪化するばかり。妻との関係もぎくしゃくし、医者からは手術費を早く確保するよう促され、ムラデンは息子の命のために殺人を犯すべきか苦悩します。このあと彼がどんな選択を取るのか、それは観てのお楽しみにしましょう。

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 さて、本作の一つのクライマックスでもあり、テーマでもあるのがこの「選択」でしょう。息子の命のために人を殺すのかどうか……。確かに殺人は行き過ぎな気もしますが、他のことで考えてみればどうでしょうか。たとえば、自分の子供が食べるものもなく飢え死にしそうになっているとき、食べ物を盗まない親がいるでしょうか。要するに、この作品は「愛する者のために、何をどこまでしてもよいのか?」という問題を提起しているのだと思いました。
 ちなみにこのテーマについて、あるいはムラデンの決断については思うところだ大なのですが、ぐだぐだになるので止めておきます(笑)。一言だけ言えば、とても悲しいけれど、ムラデンの決断は間違っていたと思います。

 本作は上記のテーマを中心に、舞台となっているベオグラードに関しても主題的に扱っています。さきほどベオグラードの平均月収に触れましたが、作品中では、子供が信号待ちの車のガラスを拭いてお金を稼いでいる様子も描かれます。その一方で、何人かのお金持ちも印象的な仕方で登場。セルビアの経済的・社会的な問題が提示されているように感じました。

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 最後に、本作のもっとも好きな点について。本作を見て一番良かったと思えたのは、俳優陣の演技。とくに主役ムラデンを演じたネボシャ・グロゴヴァッチさんは素晴らしい!平凡で優しい父親が苦悩し、ラストに至るまでのいくつかの決断をする姿は完璧。彼のムラデンを観れただけで、自分は本作を観た価値が十分にあったと思えました。
 そして、俳優陣としては忘れてはいけないのが謎の男を演じる名優ミキ・マノイロヴィッチ(・∀・ 条件を提示するときのあの存在感、それから最後の姿。それほど出番は多くないですが、やはり間違いのない俳優さんですね。

 というわけで、個人的にはとてもいい作品でした。もっとサスペンス色がなく地味な作品になっていれば、より自分の好みでしたが(笑)。シネフィル・イマジカはBSイマジカに移行しましたが、比較的最近「シネフィル・オリジナル」で放送された作品は今も放送しているようですね。2回しか放送されなかった本作ですが、おそらくBSイマジカでまた放送されるのではないでしょうか。関心のある方はリクエストをしてみるとよいかも(手前味噌ですが「シネフィル・オリジナル」一覧もどうぞ)。

ちなみに同監督の長編デビュー作『はずれた標的』(テサロニキ映画祭で賞を獲得している)も過去にシネフィル・イマジカで放送されたそうです。観てみたかったなぁ。

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本作の監督インタビューを和訳した「その2」はこちら!
http://planeta-cinema.at.webry.info/201209/article_2.html

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