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zoom RSS 『シモンの空』 ウルスラ・メイヤー監督 その1

<<   作成日時 : 2013/02/17 03:24   >>

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ベルリン映画祭の授賞式を見ていたらこんな時間になってしまいました(・∀・; 今回は、先日WOWOWで放映された『シモンの空』を取り上げます。以前紹介した『ホーム』のウルスラ・メイヤー監督の長編第二作にして、昨年のベルリンで特別銀熊賞を受賞した佳作です。

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『シモンの空』(2012)
原題『L'enfant d'en haut』
英題『Sister』
監督/脚本 ウルスラ・メイヤー
出演 ケイシー・モッテ・クライン……シモン
   レア・セドゥ……ルイーズ
製作 フランス・スイス
受賞歴 2012年ベルリン国際映画祭 特別銀熊賞

◎あらすじ
 シーズンを迎えてにぎわうスイスの高級スキー・リゾート。12歳の少年シモンは、観光客たちの荷物を盗んではお金に代えて生活している。姉のルイーズは、シモンの盗みをとがめるどころか、彼の稼いだお金で男と遊びに行く始末。両親がいないため、シモンは生活のために盗みを続けるが……。

◎感想
 今月のWOWOWはラインナップが良くて、昨年のベルリンで受賞した未公開作『シモンの空』と『プライズ』が立て続けに放送されます。この『シモンの空』ですが、以前取り上げた『ホーム』のウルスラ・メイヤー監督の長編第二作であり、海外での評判も上々ということで観たいと思っていた作品でした。個人的には前作よりも好きになれた作品です。

 映画は主人公シモンが、高級スキー・リゾートのロッカーで何やらごそごそしている場面から始まります。ご丁寧に顔を隠すマスクまでして彼がしているのは、そう窃盗(・∀・; すぐにシモンが、リゾート地で盗みをし、その盗品を売ってお金儲けをしているということが分かります。

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 なぜ12歳の少年が盗みをしているのかと疑問に思うところですが、どうやらシモンには両親がいません。身寄りとなるのは姉のルイーズだけのようですが、彼女がまたクセモノで、シモンのお金をもらっては男と遊びに行ってしまう体たらく。彼女もときどき働くこともあるようですが、必然的にシモンが生活費を稼がなくてはならない状況にあることが分かります。

 姉弟が暮らしているのは、リゾート地となっている雪山のふもとで、裕福な観光客たちとは対照的に経済的な余裕のなさそうな地域。このことが、シモンをリゾート地での盗みへと走らせたのかもしれません。いや、姉が働けばよいのですが(汗

 さて、映画の前半は、シモンがスキー・リゾートで盗みをしながら、リゾートにいる人々と触れ合ったり、盗みがばれてとっちめられたりする様子が描かれます。盗みがばれて怒られても、殴られても盗みをやめないシモンを見て、なぜそこまでするのかと思ってしまいますが、働かない姉を自分が養うんだという意識があるのでしょう。いじらしいです。

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 こうしたリゾート地での「活動」の合間に、姉との日常がはさまれ、段々と映画は両親のいない姉弟だけの「家族」に焦点をあてていくことになります。両親はどうしていないのか、そしてこの姉弟はどうなるのか。気になるところですが、この後の展開については観てのお楽しみとしておきましょう。

 本作は、「窃盗する少年」という社会派映画(あるいはモラルについて語る映画)になりそうな幕開けにもかかわらず、観れば分かるように、まったく違ったテーマを持つ作品になっています。これは観る前の管理人の予想とも違っていて驚いたのですが、本作は一つの「家族の形」を描こうとしたものなのでしょう。シモンとルイーズ、両親がいないなかで生活する姉弟というこの「家族の形」。生活するために盗みをしなければならず、それゆえに様々な悩みやつらい思いをシモンは抱いているわけですが、それにもかかわらず、彼はルイーズに対して家族としての愛情を持っています。働いてくれないとか、男と遊びに行ってばかりとか、不満があれど家族愛は否定できない。家族というのは、なかなか難しいものですね。前作『ホーム』にも家族というテーマがあるように感じたのですが、もしかしたらメイヤー監督にとって家族というものが語りたいテーマとしてあるのかもしれません。

 それから、本作で良かったのはシモンを演じたケイシー・モッテ・クライン(あえて「君」と付けずにおきましょう)。『ホーム』にも息子役で出演していたそうですが、そのときはまったく印象に残りませんでした。しかし、今回はとてもいい。おどけた表情や悲しげな表情など、比較的様々な表情を持つシモンをとても自然に演じていて、感情移入できました。いまやフランスの新星という感じで知名度のあるレア・セドゥも出演していますが、『シモンの空』はケイシー・モッテ・クラインの映画でした。

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 作品全体としては、スキー・リゾートの、透明感のある空の青と雪山の白がとても綺麗でした。内容のわりに本作からは暗さや重さを感じなかったのですが、これはあの映像のおかげかもしれません。個人的にあとちょっと監督に不満なのは、前作でもそうだったのですが、ラストシーン。どうも意味が捉えにくい(本当に意図があるラストなら、それを捉えられない自分のせいですが)し、表現の面でももっと余韻のある幕の下ろし方がある気がします。もちろん趣味の問題と言えばそうなのですが……。

 本作は3月18日(月)にもう一度WOWOWで放映されるようです。そのあとでDVDが発売されるのかどうかは、いまのところ検索しても出てきませんね。海外版DVDはフランス版・UK版(3月発売予定)があるようです。

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本作の監督インタビューを和訳した「その2」はこちら!
http://planeta-cinema.at.webry.info/201302/article_4.html

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