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zoom RSS ぷらねた的、第64回ベルリン映画祭星取表!

<<   作成日時 : 2014/02/15 04:42   >>

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 以下は第64回ベルリン国際映画祭のメイン部門であるコンペティションに選出された作品に対する管理人の個人的な星取&コメントです。★は1が最低、5が最高です。今回はちょっと思うところがあって、コメントの文体を常体にし、内容も辛口気味にしてみました。

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 なお今年はシネマトゥディがコンペ部門の特集を組んでくれていないので、コンペ部門の作品のあらすじ等を知りたい方は、「海から始まる」さんの「この記事」を参照されるのがよいかと思います。ただ、開催前の記事ということもあり、あらすじに一部間違いがありますが…。英語が苦でないという方はもちろん公式サイトがベストです。

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『グランド・ブダペスト・ホテル』ウェス・アンダーソン監督
星:★★★
 監督の意図したところでちゃんと笑いが生まれるという、すべらないコメディ。やはりアンダーソン監督は上手で、安心して見ていられた。映画祭のオープニング・フィルムとしては最適の選択。ただし終盤の展開はイマイチで、映画を観終えた後にとくに何かが残るわけではない。

『Jack』Edward Berger監督
星:★★★
 育児放棄のシングルマザーに代わって弟の面倒を見るジャックの物語。ジャックが保護施設に送られたり、赤いジャケットをはおっていたことがどうしても『少年と自転車』を思い出させる。映画のスタイルはとても好感が持てるし、なかなかの作品だと感じた。でも、もう一つ心に訴えるものが足りない。
 パンフレットにも書かれていたことだが、本作は「ベルリン映画」としての一面も持っていて、「中心部以外のベルリンのいま」を切り取った映像はとても魅力的。

『La voie de l'ennemi(Two Men in Town)』ラシッド・ブシャール監督
星:★
 特に言うこともない作品。これはコンペに入るレベルじゃないと思う。主人公が獄中でイスラム教徒に改宗したという特徴的な設定もまったく活かされていない。

『'71』Yann Demange監督
星:★★★★
 北アイルランド紛争を扱った作品。題材からして社会派作品かと思っていたのだが、社会派要素のあるサスペンス・スリラーだった。対立地帯の真っただ中に取り残された新人兵士の脱出を追う物語で、スタイリッシュなカメラワークがうまく機能している。また、観客が予想するよりも先に物語が展開していく点も見事。血がたくさん出る話は苦手だけれども(笑)、いい作品だと思う。終盤からメッセージを感じられた人は、もっと高く評価するかもしれない。個人的には終盤のある一シーンにきわめて示唆的なものを感じて、そこが忘れられない。

『Die geliebten Schwestern(Beloved Sisters)』Dominik Graf監督
星:★
 詩人シラーと彼を愛した姉妹の三角関係を描く作品。事実のせいか監督のせいかは分からないが、彼らの三角関係にあまり共感できず、恋愛の切なさを感じさせるような物語になっていない。そして何よりもこの物語で3時間は長い。

『Historia del miedo(History of Fear)』Benjamin Naishtat監督
星:★★
 「恐怖や不安とは何か?」を追求しようとした作品(だと思う)。自分はこういう根源的な問いを立てて探究していく映画が好きだし、そのために作品が一見「訳の分からない」風貌になってしまっても構わないと思っている。しかし、この作品は評価できない。それは本作が抽象的・形而上学的だからというわけではなくて、その探究が浅いからという理由に尽きる。
 実際、この作品は「恐怖感とは何か?」の探究というよりも、「私たちが不安を感じる場面集」と表現した方が適切だろう。でも、この二つはまったく違うこと。単にそうした場面を羅列するだけでは、恐怖や不安という人間の本質的な感情を追求しきったとは言えない。もちろん裸の男が叫びながらこっちに向かってきたら怖いけど!笑 次作が楽しみな監督ではある……かも。

『Kreuzweg(Stations of the Cross)』Dietrich Brüggemann監督
星:★★★★★
 現時点では頭一つ抜けている作品。これは別に感想を書きたいと思います。

『Kraftidioten(In Order of Disappearance)』Hans Petter Moland監督
星:★★★★
 息子の復讐に立ちあがった父親を描くブラックコメディ。個人的には『グランド・ブダペスト・ホテル』よりも笑えた。映像で笑わす箇所もあるけれども、やはりウィットに富んだ会話が見もの。コメディということであまり評価されないかもしれないが、賞に絡んでほしい一作。

『Aimer, boire et chanter(Life of Riley)』アラン・レネ監督
星:★
 もうレネには期待していないので、その意味では期待通りの作品だった。

『Tui Na(Blind Message)』ロウ・イエ監督
星:★★
 「盲目であること」というテーマ、あるいは盲目のマッサージ師たちが共同生活する医院という舞台設定は良かったはず。しかし、それ以外の点がほとんど失敗している。ぼやけた映像が「明確な視力がないこと」を表現しようとしているのかもしれないが、この中途半端な表現はテーマに対して不誠実とすら思えた。自分はナレーションが入る作品が好きではないが、そのなかでも登場人物の心情を説明してしまうナレーションは本当に嫌いだ。

 
『To mikro psari(Stratos)』Yannis Economidis監督
星:★★
 このありきたりな内容に2時間半は長い。90分で語れる内容だし、そうした方がよかったと思う。

『Zwischen Welten(Inbetween Worlds)』
星:★★★
 当ブログでも紹介した『Die Fremde』のフェオ・アラダグ監督による新作。アフガニスタンに駐留するドイツ人兵士と現地人の通訳の物語。設定や物語の進行はややありきたりで、前作で扱っていた「名誉の殺人」に比べれば衝撃を受けなかったのも事実。しかし、だからといって本作で描かれている現実が問題であることに変わりはない。
 できることならば、脚本(とくに終盤の)を通して監督の思想が伝わってくるような展開であればなお良かった。あの結末は、現実の残酷さをありのままに描いているとも言える一方で、やや突き放しているという印象も受ける。いずれにせよ、アラダグ監督の作品はチェックし続けたいと思わせるのに十分な作品だった。

『Praia do Futuro』Karim Ainouz監督
星:★
 端的につまらない。その原因は説得力の欠如した脚本にある。監督はブラジル出身で現在はベルリンを拠点としているとのことだが、それでブラジルとベルリンを舞台にしてしまおうと発想したならば、短絡的にすぎるというもの。
 また、途中からは『Jack』と同様にベルリンが舞台になるが、本作に「ベルリン映画」としての魅力はまったくない。というか、テレビ塔とアレクサンダー広場を映して「はい、ベルリンですよ」というのはひどすぎる!(東京で言えば、東京タワーと渋谷のハチ公前を映して「東京を表現しました」と言うようなもの)

『Bai Ri Yan Huo(Black Coal, Thin Ice)』Diao Yinan監督
星:★★★★
 1999年に起きた殺人事件。その捜査中に怪我をして警察を離れた主人公が、5年後に起きた類似の殺人事件をきっかけに捜査を再開する、という物語。好感の持てる主人公の造型(演じるリャオ・ファンがいい)とテンポのよさがあいまって、純粋に楽しめるミステリー作品になっている。また、細かい点に配慮が行き届いていたようにも感じた。ただ、これ、日本の某ミステリと微妙にトリックがかぶっているというか、結構インスパイアされている気が……。それから何と言われようとも、グイ・ルンメイさんの「男が参ってしまうタイプの女性そのもの」像が素晴らしい。

『Aloft』クラウディア・リョサ監督
星:★★
 『悲しみのミルク』のクラウディア・リョサ監督の新作ということで期待していたが、率直に言えば失望した。ヒーリングの能力に目覚めた母親と重病の弟の面倒を見る兄を中心に据えて、過去と現在が交錯しながら物語が展開していくという内容。まず、母親がヒーリング能力に目覚めるという筋がなくてもこの作品は本質的には成り立つのではないかということが気になった。スピリチュアル?的な要素や超能力を映画に持ち込むことには何の異議もないが(映画なんだし)、必要もなくむやみに利用することもないと思う。むしろ、単純に考えれば、そうした要素を利用しない方がリアリティは増すだろう。「ヒーリング能力に目覚めた母親」という設定を免罪符にして、脚本の突飛な部分を無理に納得させようとしている気がする。以前書いたように管理人は、一つの非現実的な要素を基礎に置きながら、あとの部分を丁寧に描くことで、映画は説得力を持って監督の想いを観客に届けることができると思っている。
 それから、現代のシークエンスには何も共感できないし、心が動かされることもなかった。『悲しみのミルク』の素朴な映画的美のかわりに、予算が増えたことによる「荘厳な」雪景色が挿入されているものの、中身を伴わなければ意味がない。

『La tercera orilla(The Third Side of the River)』Celina Murga監督
星:★★+
 すごく惜しい作品。主人公の父親は裕福な医者で、主人公の家族以外にももう一つの家庭を持っている。自分にも医者になるよう勧める父親に、主人公は反感を抱いていくが……というこの物語の設定は面白いと感じた。これをうまく展開できればなかなかの作品になったと思うが、最終的にはあまり印象に残らない作品になってしまった。正直、自分にはこの父親がそこまで悪い人間にも思えなかったというのもあるが、もう少しドラマティックな出来事が起きても良かった。

『Wu Ren Qu(No Man’s Land)』Ning Hao監督
星:★★★★
 あらすじを少し見ただけではどんな話しになるのかが想像できなかったが、これがまたなかなかの快作。作品全体を通して、脚本がとてもうまい。何よりも、まさかあれだけ自然に「マカロニ・ウェスタンへのオマージュ」がなされるとは思ってもいなかった(パンフレットにそんなことが書いてあって、どういうことかと思っていたのだけれど)。ちょっと評価に悩むけれど、ギリギリで★四つ。

『Boyhood』リチャード・リンクレーター監督
星:★★★
 10年以上の歳月をかけて主役となる少年の成長を追いかけた作品で、このアイディアを実行に移した点は評価できる。3時間かけて幼い頃からの主人公の人生を見せられると、やはり彼の成長した姿に感慨を覚えずにはいられない。
 しかし、このアイディアはあくまでも作品の形式に関わるものであって、肝心の中身が問題だろう。この点で管理人には、監督の演出が過剰に感じられ、また脚本もあざといように思われてしまい、感情移入できなかった。とりわけ、その年に流行したものを逐一映し出す演出が、観客(とりわけアメリカの)に媚びている気がして仕方ない。
 イーサン・ホークの父親像だけは、彼の演技も含めて、手放しに素晴らしいと言いたい。

『小さいおうち』山田洋次監督
星:★★★
 思っていたよりもずっといい作品だった。監督の演出はさすがに一昔前のものという印象を受けるけれども、さすがにこなれていて安定感がある。終盤、ちょっとつめこみ過ぎている気がしたので、もう少し簡潔にまとめた方が余韻は残ったのではないか。

『Macondo』Sudabeh Mortezai監督
星:★★
 あらすじを読んだ限りでは期待できるかなと思ったが、イマイチ。『Jack』でも書こうか迷ったのだけれど、子供を主人公にして困難な状況をミニマルに描けば誰でもダルデンヌ兄弟になれると思ったら大間違い。

※最終更新2月15日:これでコンペはすべて見終えたことに。あと30分後には授賞式!願望が多分に入った自分の予想としては、

金熊賞:『Kreuzweg(Stations of the Cross)』
審査員グランプリ:『Boyhood』
監督賞:Yann Demange(『'71』)
男優賞:リャオ・ファン(『Bai Ri Yan Huo(Black Coal, Thin Ice)』)
女優賞:『Kreuzweg』の女優陣あるいは『小さいおうち』の女優陣に対して。
脚本賞:Ning Hao(『Wu Ren Qu(No Man’s Land)』)
芸術貢献賞:『Historia del miedo(History of Fear)』

金熊とグランプリは逆の可能性が高いかもしれませんが、管理人ははっきりと『Kreuzweg』推し。『Kraftidioten(In Order of Disappearance)』にも何かしら賞をあげたいけれど、入れるところが見つからず。芸術貢献賞は大穴的ですが、この監督の姿勢は買いたいと思っています。そして、今年のコンペには女性が目立つ作品が少ないので『小さいおうち』にはぜひ女優賞を獲得してほしいところ。

さて、結果やいかに……


2月14日:一般市民向けにはあと二作品が上映されずに残っている状態。ラストの『Macondo』は個人的にはかなり気になっている作品。現時点では『Kreuzweg』に金熊を受賞してほしいけど、やはり『Boyhood』が本命なのかなぁ?

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