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zoom RSS 『エリート・スクワッド/Tropa de Elite』 ジョゼ・パジーリャ監督 その1

<<   作成日時 : 2010/03/06 21:40   >>

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先日のベルリン映画祭にちなんで、2008年に金熊賞を獲得した未公開映画『Elite Squad』を紹介(・∀・ 監督は『バス174』のジョゼ・パジーリャ監督。『シティ・オブ・ゴッド』の脚本家も参加しています。ベルリンが好きそうな、社会的にも意義ある重厚な一作!

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『Elite Squad』(2007)
原題『Tropa de Elite』/DVD題『エリート・スクワッド』

監督 ジョゼ・パジーリャ監督
原作 André Batista『Elite da Tropa』
脚本 ブラウリオ・マントヴァーニほか

出演 ヴァグネル・モーラ・・・ナシメント   
    アンドレ・ハミロ・・・マチアス
    Caio Junqueira・・・ネト

制作 ブラジル・蘭・米
受賞歴 2008年ベルリン国際映画祭 金熊賞

◎ひとこと解説
 『バス174』ではストリートキッズの視点から、ブラジルに存在する社会問題を取り上げたジョゼ・パジーリャ監督。本作は同じ問題を、警察の立場から取り上げた作品になっている。一般の腐敗した警察と特殊部隊BOPEを対比させながら、ブラジルの暗部に鋭く切り込んだことで、多くの議論を本国で巻き起こした。その一方、国内外を問わず高い評価を受けている。

◎あらすじ
 警察特殊部隊BOPEの隊長であるナシメントは、ドラッグの密売を排除すべく活動している。しかし、妻の妊娠を機に危険な任務の多いBOPEから引退することを決め、交代要員を探していた。一方、市の警察には二人の新人が配属されてきた。考えるより先に手が出てしまう直情型のネトと、法律を勉強しながら理想に燃えるマチアスだ。幼い頃からの親友である二人は、そこで警察の腐敗した実態を知ることになり・・・。

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◎感想
 はじめて『バス174』を観たとき、非常に大きな衝撃を受けたことを今でも覚えています。ラストのやるせなさは、ブラジルとは関係のない自分に怒りを感じさせるくらいのパワーを持っていました。本作では、そのようなブラジルの社会状況を警察という視点から描いているのですが、これまた物凄いパワーを持つ作品になっています。
 『シティ・オブ・ゴッド』で、リオのスラム(=ファベーラ)についてはなんとなくイメージを持っていたのですが、確かにブラジルの警察については何の印象もないですよね(笑)。BOPEという特殊部隊の存在も、警察の腐敗も管理人は知りませんでした。本作がブラジル以外の国の観客に対して持つ意義は、まずここにあるでしょう。

 具体的に言うと、まずBOPE。映画の冒頭から非常に印象的な仕方で登場してくるのですが、これが凄い。ドラッグのディーラー=悪、悪=倒す、倒す=殺す、という小学生でも分かる等式でもって、容赦なく売人に発砲します。売人の居場所をつかむためなら、暴力なんぞ朝飯前(・∀・; これを率先して指揮するのが、本作の主人公であるナシメントになります。本作はBOPEから訴えられたらしいのですが、確かにこれ見たらBOPEにいい印象は持たないかもしれません。もちろん、本作が描いていることだけが真実ではないのですが。

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 ならば、一般の警察はどうだ。正義という理想に燃えている新人、ネトとマチアスが見たのは警察内部の素晴らしい腐敗でした。癒着に横流し、殺人事件は隣の管轄で起きたことにしておこう、とやりたい放題。ここでもまた、自分のようなブラジルを知らない観客は「おいおい」と思うことになります。
 このような警察に対して、ブラジルの一般市民はどう感じているのでしょうか。非常に面白かったのが、作中でそれが描かれていることです。マチアスは警官であることを隠して大学で法律を学んでもいるのですが、警察についてのディスカッションをする授業で、彼以外の生徒がみな警察を悪く言うシーンがあります。 マチアスは当然反論しようとするのですが、おそらくここで監督はブラジル市民の意見を代弁しているのでしょう。

 そういう訳で本作の一つの意義は、ここまで述べてきたような問題を描き、海外の観客にそれを訴え、ブラジル国内の市民の問題意識を刺激するという点にあると思います。って、これじゃあ教科書みたいな作品ですね。本作はその上で、映画的にも素晴らしい!

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 管理人が良かったと思うのは、登場人物の心情のブレを上手に描いたところです。隊長であるナシメントは、確かになかなかの激しい気性をお持ちで、厳しい人間です。しかし彼を単なる殺人マシーンではなく、ある出来事をきっかけに悩みを持つようになる普通の人間として描いたことは、映画的には作品に深みを与えることになりました。同様に、理想主義的な傾向を持つマチアスに、現実を突きつける仕方も素晴らしかったと思います。

 ブラジルの現実を描くことによって、社会問題への意識を刺激した点も確かに重要だと思います。とはいえ、映画を観ている最中に感じたのは、苦悩する人間を描く一つの作品(人間ドラマっていうと違う気もしますが)として、とても魅力的な作品だということです。これだけの内容を見せつけられれば、金熊賞受賞も納得がいくなという作品です(・∀・
 uk版DVDは値段も安めなので、ぜひ一度ご鑑賞を!

※2011年12月についに日本でも本作が『エリート・スクワッド』というタイトルで発売されるようです。
嬉しいことにブラジルで大ヒットした続編も『エリート・スクワッド ブラジル特殊部隊BOPE』というタイトルで同時発売とのことです(´∀`

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本作の監督インタビューを和訳した「その2」はこちら! 
http://planeta-cinema.at.webry.info/201003/article_2.html

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