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zoom RSS 『Syndromes and a Century/世紀の光』アピチャッポン・ウィーラセタクン その1

<<   作成日時 : 2010/03/13 22:57   >>

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強烈な個性を持った作品を生み出し、世界的に評価されているアピチャッポン・ウィーラセタクン監督。本作は、医者である両親の生活と自身の記憶を題材とした、(現在のところ)1番新しい長編。管理人的には大傑作(´∀`* 『世紀の光』は21世紀の映画界を照らす光です(とか言ってみたり笑

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『Syndromes and a Century』(2006)
映画祭上映タイトル『世紀の光』

監督/脚本 アピチャッポン・ウィーラセタクン

制作 タイ・仏・オーストリア
受賞歴 2006年ヴェネチア映画祭コンペディション部門出品

◎ひとこと解説
 『トロピカル・マラディ』でカンヌ映画祭審査員賞を受賞した、ウィーラセタクン監督の長編第5作。医者であった両親についての映画を撮るという動機で制作された本作も、これまでの作品と同様に二部構成の作品になっている。またタイ本国では、検閲によっていくつかのシーンをカットすることを要求されたが、それを拒否したことでも話題となった。

◎あらすじ
 ある田舎の病院で、女性医師が男性医師と話している。建物や風景を見るかぎり、現在より2,30年ほど前の時代の話のようだ。部屋には女性医師を慕っている男性が、話が終わるのを待っている。
 ある都会の病院で、女性医師が男性医師と話している。最新の設備や、窓から見える高層ビルが、舞台が現代に移ったことを示している。もしかしたら未来かもしれないが、二人の会話は過去のものとまったく同じだ。

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◎感想
 さて、今回はウィーラセタクン監督の『世紀の光』を紹介します(・∀・ 管理人がはじめて観た監督の作品は『トロピカル・マラディ』でした。そのときの感想は、「確かにこの監督にしか作れないだろう映像世界だけど、作品としてはそこまで面白いかな〜(´∀`;」というものでした。そのせいか、本作に食指が伸びるのが遅くなったのですが・・・いやはや、もっと早く観るべきでした。あまりにも素晴らしい作品です、『世紀の光』。もう自分は大好きです、これ(笑

 監督の作品を観たことがある方は分かるかもしれませんが、本作でも二部構成がとられています。前半部分は、あらすじに書いたように、過去の田舎にある病院を舞台に作品が展開していきます。メインとなるのは、女性医師と彼女を慕う男性の話でしょうか。そこに、男性医師や、歌手としても活動している歯科医と僧侶の話が組み込まれています。とはいうものの、本作に明確な脚本を求めてしまうと意味が分からなくなると思います。一応、上に掲げた人物たちが会話したりするんですが、本筋には関係がないというか、本作に本筋はありません!(笑 それゆえ、本作に明確な解釈は存在しないと思うので、観客が好きなように感じればいいのだと思います。

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 とはいえ、監督自身もどこかで語っていたと思いますが、彼が作品に込めた意図というものは存在します。それは、本作が医者であった両親についての映画を作るという動機から始まったことと関係すると思いますが、「記憶・思い出」です。前半部が、過去を舞台にしているということもそれを表現しているかもしれません。また、登場する人物たちは、自分の「記憶・思い出」をそれとなく語ることが何度もあります。一例を出すと、医者のところにきて、年老いた僧侶が自分の見た悪い夢を訴える場面。彼が見た夢とは、夢の中でニワトリにうなされるというもの。僧侶自身が、そんな夢を見る理由を説明します。「子どもの頃に、ニワトリをいじめたんだ」。

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 全体を貫くモチーフについては置いておいて、前半部分について触れましょう。前半部分は、勝手な思い込みかもしれませんが、やはり牧歌的な雰囲気を漂わせています。そして、素朴な人々を、暖かく、愛おしく監督は切り取ってみせます。彼らがする会話は、ストーリーとは関係のない単なる日常会話です。そこには、監督の両親が暮らした田舎の生活が託されているのかもしれません。でも、難しいことは考えないで、こののんびりした雰囲気を味わうだけでも管理人は十分でした(´∀`*

 そして、なんの脈絡もなく舞台は一気に変わります。登場人物は前半と同じなのに、着ている服装がなんかオシャレ。病院も、なんか凄い綺麗。壁が白すぎてヘン(笑)。女性医師が男性医師に質問しているのですが、数十分前に間違いなく聞いた会話・・・そう、監督は舞台を変えて、もう一度同じ会話を登場人物にさせます。ここで管理人は、完全に作品に引き込まれてしまいました。もちろん前半と同じことをずっと繰り返しても飽きるので、途中から前半とは違う人物をカメラは追うことになります。でも、きっと前半と同じことが現在でも起こっているのだろうという予想はできますね。

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 このことが一体何を意味しているのか。過去は繰り返す、とか、人類の見た目の発展と変化しない部分を表現している、とか人によって多様な感じ方がありえるでしょう。前半の登場人物が未来に生まれ変わったが、過去の記憶が残っていて同じ会話をする、とか(笑)。能天気な管理人は、正直いいアイディア持ってませんけど(・∀・;笑

 それでも、本作は素晴らしい映像体験を与えてくれる映画であるということは疑いの余地がありません。脚本について言及してきましたが、映像も非常に素晴らしいと思います。タイ語の原題の意味が「世紀の光」なんだそうですが、光の描写は本当に綺麗。また前半と後半では、会話だけでなく、映像的な対応もいくどとなく出てきます。それらを楽しみながら、ウィーラセタクンの世界に触れるというのが本作の魅力でしょう。

 管理人の拙い文章力では、本作から受けた自分の感動は表現しきれません。本当に素晴らしい映画だと思います。観た人間の数だけ解釈がありうる映画なので、ぜひ多くの方に観てもらって本作について語りたいですね(笑)。
 最後に愚痴ですが、ウィーラセタクン監督の作品が日本では一作たりとも一般公開されておらず、気軽に観ることもできないという状況は映画が好きな人間にとっては不幸以外の何ものでもないと思います、まる。(`д´*

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本作の監督インタビューを和訳した「その2」はこちら!
http://planeta-cinema.at.webry.info/201003/article_4.html


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コメント(3件)

内 容 ニックネーム/日時
こんにちは!
 こちらのブログ(http://thaimovie.blog77.fc2.com)で紹介させていただきました。アピチャポン監督の作品は、inaさんの解説なしでは理解不能で語れません(笑)
asianet
2011/03/06 00:38
コメントありがとうございます(´∀`
解説というほどのものではないですが、参考になったのであれば嬉しいです。
ウィーラセタクン監督の作品を観るときには、もはや理解しようと思わなくなってきました(笑)。
ina
2011/03/06 12:01
この映画は永遠回帰について表しているのだと思いました。死について、これまで連綿と繰り返されてきた生について、こんなに優しい気持ちにさせてくれた映画はほかになかった。自分のなかでも間違いなくオールタイムベストのひとつです。まさにエピファニーの瞬間。
my favorite mind fuck cinema list
http://www.imdb.com/list/4mMxLGTDv_o/
Daimonphrastus
2011/08/15 04:37

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