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zoom RSS 『A Prophet/預言者』 ジャック・オディアール監督 その1

<<   作成日時 : 2010/03/20 02:44   >>

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フランス映画祭2010が始まりましたね(・∀・ というわけで早速、観てきたばかりの『アンプロフェット』を取り上げます。海外での絶賛が納得できる、実に映画らしい傑作でした!2009年を代表する本作、流石に一般公開するだろうと思っていたら、映画祭公式ページには「公開未定」という恐怖の4文字が・・・。一般公開決まりました!

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『A Prophet』(2009)
原題『Un prophète』
邦題『アンプロフェット』/『預言者』

監督 ジャック・オディアール
脚本 Thomas Bidegain /ジャック・オディアール
    Abdel Raouf Dafri / Nicolas Peufaillit

出演 タハール・ラヒム・・・マリク
    ニエル・アレストリュプ・・・セザール ほか   

制作 フランス・イタリア
受賞歴 2009年カンヌ映画祭 審査員グランプリ受賞
2010年セザール賞 作品賞ほか9部門受賞
2010年アカデミー賞 外国語映画賞ノミネート ほか

◎ひとこと解説
 『リード・マイ・リップス』『真夜中のピアニスト』を手がけたジャック・オディアール監督の最新作。カンヌでの受賞後、2009年の映画祭・賞レースを牽引した。フランスのセザール賞では、13部門にノミネートされ、9部門での受賞は史上最多タイ。

◎あらすじ
 19歳のアラブ人マリクは、6年間の懲役をうけ刑務所へと送られる。コルシカ島出身のグループと、アラブ人のグループが対立している刑務所の中で、味方のいないマリク。しかし、コルシカ島グループのボスであるセザールからの依頼をきっかけに、彼は権力へと上り詰めていくことになる。

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◎感想
<2012年1月の公開にあわせて少し本文を修正しました。アクセスが突然増え、あまりにもテンションの高い文章を読み直して恥ずかしくなったからですm(_ _ ;)m>

 まず最初に、2時間半の上映時間をまったく長く感じさせず、緊張感を保ち続けるという作品を作った『預言者』陣営に拍手を送りたいと思います。緊張感というのは要するに、幼稚と言われるのを覚悟で言えば、ハラハラ・ドキドキ・ワクワク感をずっと感じさせてくれたいうことです。刑務所の中で成り上がっていくというシンプルでやや先が読めてしまう内容にもかかわらず、気を抜く暇を与えないドラマを作り上げたのは、やはり評価されるに値するでしょう。

 あらすじにも書いたように、本作は19歳の青年が刑務所の中でいかにして生き抜いていくのかを描いた作品です。刑務所の中にはそれぞれのアイデンティティを基盤としたグループが存在しますが、マリクはどちらの派閥にも属すことができず、まさに孤立無援。しかし、コルシカ島グループのボスであるセザールから敵対するアラブグループのメンバーを殺せという命令を受けたことから彼の運命が変わり始めます(この「断れない要求」をするあたりのセザールは本当に怖い)。

 序盤から感じたのは、オディアール監督のこれまでの作品に比べて、映像の見せ方により工夫がなされているということです。それによって、作品が更に芸術的、技巧的になった印象を受けました。同時にところどころでポップな場面もあり、万人受け…とまではいかないにしても、監督が単なる批評家向けの映画を意図したわけではないことも伝わってきました。とにかく映像面では監督、かなり腐心したんじゃないでしょうか。2時間半もの上映時間、観客をつねに注目させる映像を作るのは、並大抵のことではありません。監督自身が一番それを理解していると思いますが、スクリーンから作り手の気合が伝わってくるような、印象的なシーンがたくさんあります。

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 さて、セザールからの命令を遂行したマリクでしたが、最初の命令はいわば入団テストのようなもの(しかし、この命令が最後まで重要なものとなります)。コルシカ島グループに入り込んだマリクにはさらなる出来事が待っているのですが、それは観てのお楽しみに。2時間半、息つく間もないドラマが繰り広げられます。

 思い返すと、本当に一瞬たりとも気が緩むときがありませんでした。上述したように映像面でも非常に力が入っているのですが、作品を支配する緊張感の理由としてもう二点ほど挙げられるでしょう。一点目は、脚本。鑑賞前は、「『預言者』って若者が成り上がる映画らしいから、どーせなんだかんだで上手くいくんでしょ?」と思っていたんですが、結局2時間半ハラハラさせられてしまったのはもう書いたとおり。心臓に影響があったらジャック・オディアールのせいというくらい、とても上手にサスペンスを組み立てることに成功しています。山場をどう作っていくかなど、かなり練ったのではないでしょうか。ただ脚本でちょっと気になったのは、「コルシカ島の政治犯うんぬん」のくだり。これは実際にあったことなんでしょうか?そうじゃないとすると、ややご都合主義な印象も受けます・・・管理人が無知なだけでしょうが。

 そしてもう一点、これが『預言者』の最高のポイントだと思いますが、主演級の二人の演技がとても良かった(´∀` 名演ではなく、熱演ですね。二人の演技によって映画全体にものすごいエネルギーが吹き込まれ、圧倒されるばかり。まずマリク役のタハール・ラヒム。あどけなさを残した19歳のマリクが、少しずつ「成長」していく過程を完全に演じきっています。映画の進行にあわせて、顔つきが本当に変わっていったように感じられました。

 そして個人的には、セザール役のニエル・アレストリュプに感服いたしました。おじいちゃん、怖すぎ。マリクの前では本当に恐ろしい。しかし、セザールを演じるにはただ怖いだけじゃダメなわけで、マリクの前では見せないいくつかの表情もニエル・アレストリュプは見事に見せてくれます。彼は本作の演技によって『真夜中のピアニスト』での主人公の父親役に続いて、セザール賞の助演男優賞を獲得しました。『真夜中〜』の父親役はやや一面的で、とくに印象に残った俳優さんではなかったのですが、セザール役の演技は、素晴らしいと思います。役者に素人をあえて使う監督も多く、管理人はそういう作品も好きなのですが・・・彼の演技は「プロ俳優」の存在価値をまざまざと見せつけてくれました。脱帽。

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 という訳で、やや興奮気味に感想をお届けしました。批評的に成功を収めた作品でもありますが、本作のスリル感は誰にでも味わえるものでしょう。それゆえ本作が映画祭でのみ紹介されて終わり、ということはまずないと思うのですが・・・。『アンプロフェット』への需要の高まりに、この記事が数億分の1でも役に立つことを願って、筆を置くことにします(´∀`

※本作は2012年に『預言者』というタイトルで一般公開が決まったようです。

本作の監督インタビューを和訳した「その2」はこちら!
http://planeta-cinema.at.webry.info/201003/article_6.html

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