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zoom RSS 『Delta/デルタ』 コーネル・ムンドルッツォ監督 その1

<<   作成日時 : 2010/05/14 23:28   >>

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いよいよ第63回カンヌ国際映画祭が開幕しました(・∀・ 今回は、そのコンペティション部門に新作が出品されている、コーネル・ムンドルッツォ監督の『デルタ』を紹介します。この作品も一昨年のカンヌ映画祭コンペ部門に出品され、賞を受賞しています。規模の小さな作品ですが、美しい風景と静かな世界観が心に残る作品です(´∀`*

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『Delta』(2008)
映画祭上映タイトル『デルタ』
監督/脚本 コーネル・ムンドルッツォ(Kornél Mundruczó)
出演 フェリクス・ライコー(Félix Lajkó)・・・ミハイル
    オルシ・トート(Orsi Tóth)・・・ファウナ
製作 ハンガリー・ドイツ
受賞歴 2008年カンヌ映画祭コンペディション部門出品
    同 国際批評家連盟賞受賞

◎あらすじ
 長年の出稼ぎを終えて、ミハイルはドナウ川のデルタ(三角州)地帯に位置する小さな故郷に帰ってきた。母親を訪ねた彼は、そこで義父そして妹と初めて対面する。ミハイルは沼地の中に家を建てて一人で暮らそうとするが、家の建設を手伝ってくれる妹とやがて親密な関係になり・・・。
※監督が語っている通り、主人公の名前は本編には出てきていません。名前はIMDbにあるものを参照しました。

◎感想
 カンヌ開幕にあわせて、ハンガリーの俊英コーネル・ムンドルッツォ監督の『Delta』について感想を。監督をはじめ、監督のミューズであるオルシ・トートという女優さんも日本ではまったく馴染みがないのですが、なかなかの映画を見せてくれました(´∀`*
 ただし静かな映画なので、日本をスルーしてしまっているのもやや納得できる作品です。おそらく海外版DVDを購入しないと、観る機会はないかもしれません・・・ですが、観る価値がある映画だと思うので、ここで紹介して興味を持っていただけら嬉しいですね(・∀・ そんなわけで、気合を入れて感想へいきましょう。

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 本作の特徴としてまず、説明的な部分を排除し、セリフがかなり少ない脚本を挙げられると思います。たとえばミハイルは出稼ぎから帰ってきたのですが、どのくらい故郷を離れていたのかとか、なぜ帰ってきたのかなどについての説明はありません。母親と義父の話も少ない。また義父は妹や母に「(ファウナは)俺の子どもじゃない」といった発言をするので、管理人はミハイルとファウナが実の兄妹だと思って観ていました。しかし海外では異父兄妹という設定で通っているようだったり(苦笑)。
 そのため、背景の情報がしっかりと説明されていないとイヤだというタイプの方は、少しフラストレーションがたまるかもしれません。管理人の印象としては、説明されていない部分は数多くありますが、本質的な部分に関しては情報を落としてはいないと思います。母親と義父、母親と妹、妹と義父の関係がどのような状況にあったのかを説明してくれても良かったかもしれませんが。

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 そして、脚本の起伏の少なさもなかなか。そもそも、起こる出来事がそんなに多くありません。それに92分かかります(笑)。よく言えば落ち着いた、悪く言えば眠くなるかもしれない、ゆったりとしたペースで物語は展開していきます。管理人はこのテンポがあったので「いいじゃん」と思いながら観れましたが、人によっては退屈に感じるかもしれませんね(・∀・; 後半の展開はやや読めてしまうものの、何が次に起こるかを予想するような映画ではないので置いておきます。ただ、予想していたにもかかわらず、ちょっと憂鬱な気分になってしまったのは、淡々と映像を見せつけられたからでしょうか。

 と、ここまでやや脚本が無味乾燥に思われるようなことを書いてきました。しかし、脚本における変化の乏しさは内容のなさを意味する訳ではありません。逆にこの脚本は、水路によって外界から隔絶された小さな村の閉鎖性をよく描いています。映画の静けさはまた、同時に村の静けさを伝えてくれます。兄妹ながら仲良くする二人を、この村の人々がどのように見ているのか。街でイチャつくカップルを見て、苦々しく思う人々(今でも多分いるでしょう:笑)が投げかける無言の圧力と同じものを本作は描いています(もちろん程度の差はありますが)。

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 脚本について話をしてきましたが、実際本作で最も印象的だったのは、ドナウ川流域のデルタ地帯の美しさ。水路が張り巡らされたようになっていて、移動にも船を使うような場所なのですが、風景をとても綺麗にカメラに収めています。とくに、水の流れと光。多くのシーンに、川が映し出されるわけですが、澄み切った水の美しさは鑑賞後も胸に残ります。さらに光に関しては、かなり意識的に撮影しているのではないかと思いました。水に反射する光、草原に差す光。これをスクリーンで見れたら、それだけで満足してしまいそうです(´∀`*

 この感想を書くためにちょっとDVDを見返したのですが、風景を切り取るカメラワークにも注意が払われている気がしました。まったく気にしていなかったのですが、ところどころに長回しが使われてたり。この辺りに注目すると、監督自身もやはり自然の美しさを、作品の魅力の一つとして映像に収める意図があったのだと感じられますね。

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 全体的には、国際批評家連盟賞を受賞したのも納得の、批評家が好みそうな映画だと思います。脚本的に言えば変化に乏しい箇所もありますが、その見せ方は静かで美しい。傑作ではないけれど、寡黙な佳作だと言えるでしょう。そうそう、ところどころで挿入される弦楽器のクラッシクのBGMも個人的には良かったです。
 できればこの作品くらいの水準にある映画までは公開あるいは容易に鑑賞することができるといいなと思います。この不況の中、配給会社の方も頑張っていらっしゃると思うので、ワガママかもしれませんが(´∀`;A

 さて、今回のカンヌでも新作『TENDER SON - The Frankenstein Project』がコンペに選ばれているムンドルッツォ監督。ぜひ主要賞を受賞して、日本でも監督作が公開されるといいなと思います。

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本作の監督インタビューを和訳した「その2」はこちら!
http://planeta-cinema.at.webry.info/201005/article_2.html

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