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zoom RSS 『我らが愛にゆれる時』 ワン・シャオシュアイ監督 その1

<<   作成日時 : 2011/08/12 20:34   >>

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明日から「三大映画祭週間2011」というイベントが始まります。今回はそのラインナップにも含まれているワン・シャオシュアイ監督の『我らが愛にゆれる時』を(DVDを買っちゃってもったいないので)紹介します(・∀・;

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『左右』(2008)
映画祭題『我らが愛にゆれる時』/『愛を信ず』/英題『In Love We Trust』

監督 ワン・シャオシュアイ
出演 リウ・ウェイウェイ…メイ・チュー
製作 中国
受賞歴 2008年ベルリン国際映画祭 銀熊賞(脚本賞)

◎あらすじ
 メイ・チューとシアオ・ルーは離婚し、いまはそれぞれ別の相手と再婚している。しかし、二人の娘ハーハーが白血病に冒されてしまう。二人は骨髄移植に適合せず、ハーハーを救う残された方法は、さい帯血移植のために二人が新たな子供を生むことだった…。

◎感想
 さて、今回は「三大映画祭週間2011」に便乗して、『我らが愛にゆれる時』を紹介します。ワン・シャオシュアイ監督については以前『上海ドリーム』を取り上げたことがありますが、とてもよい作品だったので実は本作のDVDをそのあとで買っていたんです(´∀`; もったいないので映画祭に先駆けて記事をアップします(笑)。ちなみに「三大映画祭週間2011」では、以前取り上げた『ハッピー・ゴ・ラッキー』も上映されるようですので、インタビュー記事などご一読くださいm(_ _ )m

 それでは、本作の感想に入っていきましょう。この映画のうまいところは設定が生み出すジレンマにあると思いました。主人公メイ・チューにはラオ・シエという旦那さん、ハーハーの実父である元夫シアオ・ルーにはトン・ファンという若い奥さんがすでにいます(トン・ファンを演じるのは『トゥヤーの結婚』のユー・ナン)。娘の命のためとはいえ、あくまでも人工授精とはいえ、それぞれ再婚して新たな相手がいるにもかかわらず子供をもうけることには戸惑いを覚えるでしょう。あるいは、それぞれの再婚相手からすれば、自分の伴侶が元妻/夫とまた子供をもうけることに抵抗を感じずにはいられないはずです。4人のキャラクターはまず、そうした戸惑いと子供の命を救うことの間で揺れることになります。

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 さらに物語を、4人の気持ちを複雑なものにするのが、中国の「一人っ子政策」。監督のインタビューを読むと、離婚して再婚した場合にはまた新たに子供を一人だけ生むことができるようです。が、メイ・チューとシアオ・ルーが新たに子供をもうければ、どちらかの夫婦は再婚相手との間に子供を生むことができなくなってしまいます。ここで、自分の愛する相手との間に子供をもうけたいという気持ちと、病に冒されている命を助けなくてはという気持ちがまたぶつかることになります。

しかしメイ・チューにとって娘の命を救うことは絶対で、周囲に迷惑をかけて申し訳ないと思っても、とにかく出来ることをしようとします。メイ・チューの夫ラオ・シエは優しく、自分の気持ちを抑えてでもメイ・チューの選択を尊重します。一方で元夫シアオ・ルーは若妻のことを考え、その若妻トン・ファンは予想通りの猛反対。ここから4人がそれぞれ何を感じ、どう考え、どのような選択をしていくのかが中盤以降の展開になっていきます(ちなみに公式サイトのあらすじはもっと先までネタバレしてます…)。

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 さて、映画を見ていて個人的に感情移入したのは、娘のために奔走する主人公メイ・チューではなくて、メイ・チューの現夫ラオ・シエと、シアオ・ルーの現妻トン・ファンでした。つまり、自分と血がつながっていない再婚相手の子供のために、自分の子供をあきらめなくてはならない可能性がある人々です。傍から見ている分には、子供の命が何より大事だと簡単に言えるかもしれません。しかし、自分が当事者であるとして、本当に子供を持てなくなるとしたらどうでしょうか。「子供の命のため」という絶対に反論できない文句で、自分の希望を捨てるよう迫られたときどう思うでしょうか(あまりいい言い方ではないですが)。

 普通の人間は、おそらくこのような決断に迫られたとき、そう簡単に聖人君子のように自分の気持ちを捨て去ることはできないと思います。とても悩むはずです。そして、監督はまさにラオ・シエとトン・ファンをそのような普通の人間として、しかし少しの理想を込めて描いています。管理人はこの二人の描き方に、本作のもっとも素晴らしい点があると思いました。安易にキャラクターを実際にはいないような「いい人」にすることなく、しかし実際にいないとしても人間はそうであって欲しい、そうであるはずだという希望もかすかに込められている。こういう映画を見ると、とても嬉しいです。

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 とくに素晴らしいのは、ラオ・シエの人物像。非常に温厚な人物で、メイ・チューとハーハーのことを心から大切に思っているのが伝わってきます。とにかくものすごくいい人!(・∀・ キャスティングも成功していて、この役を演じたチェン・タイシェンの笑顔が忘れられません。その一方で、ときに見せる苦しそうな顔。やはりラオ・シエも完全に割り切れているわけではなく、悩んでいるのだと感じさせますが…。

 ここから映画の後半、終盤のテーマに話はつながります。つまり、人生には多くのジレンマや困難があります。人間というのは弱い生き物で、そうした困難の中で悩みもすればズルもするかもしれません。しかし、それだけでなくて、本当に大事な瞬間に、悩みながらも少しだけ勇気ある選択ができるのかもしれない。葛藤しながらも自分の選択をした末に見せるラストの4人の表情は、それぞれ違っていて、考えさせられました。

 ワン・シャオシュアイ監督の中では『上海ドリーム』を超えて一番好きな作品になったかもしれません(去年の東京国際映画祭で『重慶ブルース』も見たんですが、まだDVD化していないようなので取り上げるか思案中)。また脚本賞を獲得しているだけあって、伏線をはって、それを回収したりもしますが、そこまでうまい伏線かと言われれば…(・∀・; とはいえ、全体のテーマ、映画のラストシーンなど個人的にはとても好きな映画でした。「三大映画祭週間2011」が近くで開催される方はぜひ(DVDは出るのかなぁ)。

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本作の監督インタビューを和訳した「その2」はこちら!
http://planeta-cinema.at.webry.info/201108/article_3.html

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コメント(2件)

内 容 ニックネーム/日時
こんばんは。
携帯の伏線は、大して上手くなかったですよね(笑)
ドン・ファンが人工授精を許す代わりに、子供を産む
と言っていたので、シアオ・ルー夫婦は子供を産める
と思ったのですが、違いますか?

http://plaza.rakuten.co.jp/february4th/diary/201202180000/
YOSHIYU機
2012/02/18 20:24
コメントありがとうございます(・∀・
携帯はある意味ではお約束という感じでしたね(笑

鑑賞したのがちょっと前なのであやふやなのですが(言い訳)、メイ・チューとシアオ・ルーの間に新たな子供が産まれたときに、どちらが親権を持つかで変わると思っていました。つまりシアオ・ルーが自分が父親だと言って親権を持った場合には、ドン・ファンとの間に子供を産むことはできなくなると。

もちろん、ラオ・シエがいい人すぎるのでその可能性はないのですが…。
ina
2012/02/18 23:21

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